紙媒体の書籍と電子書籍の違い。喪失の面では方向性が違うのみでどちらもリスクはある。では問題なのは......

| コメント(0)


メディアや報道関係における比較を論じる際に、新聞やテレビとネットを同じ項目としてまとめるのはかなり変なお話だよなあ、その辺りの定義がしっかりとなされていないから、議論が出てきてもちぐはぐなことになる......的な話と同じ位に、問題点や定義をしっかり見据えておかないと奇妙なことになりかねない感があるのが、電子書籍と紙媒体の書籍の件。まぁ、電子雑誌と紙媒体の雑誌との比較でもいいし、それらを合わせて電子本と紙媒体本でもいいんだけど。名前の通りは電子書籍が一番いいので。


結局コンテンツの保全性との観点では電子も紙も一長一短。双方併せ持つのが一番。どちらか一方のみを用いる場合、もう片方の長所には目をつむる必要がある。

その長所・短所を埋める、少なくとも架け橋になり得るのがPDFファイルなどによるダウンロード方式なんだけど、これもちょいと問題が。これはPDFが出回り始めた頃からの問題なんだけど、PDFファイルは容易にコピーできるので、購入した「書籍」が複写され二次販売や無料販売されてしまうんだよね。それはコンテンツを作る側としては非常に困るお話。その防止のため、現在では電子書籍は「閲覧権」販売が主流となっている。

個人的には以前【これも未来の姿の一つか...夢見る未来の本屋のかたち】で紹介したようなスタイルに近づいていくのかな、という感もある。多くの本は電子化。紙で残したい人は無料、あるいは僅かな追加料金で出力権が得られ、所定のお店や自宅のプリンタで出力できる(とにかく紙で残したい人向け。お店は簡易製本もあると嬉しい)。大手で元々紙媒体版も売っている所はコードと共に送金すると、割引価格で紙媒体版も送付してくれる(完全な形で残したい人向け)。まぁ、百科事典などは自前でのプリントは実質的に無理なので、電子か紙、割り切りになるだろう。

また、書籍は事故やぞんざいな扱いをしなければ、10年単位で確実に残るけれど、電子の場合は(閲覧権云々を別にしても)、「データ」そのものは永続的に保全されるとして、そのデータを記録する媒体が同じ寿命を持つか否かという問題も合わせ考える必要がある。

その意味では【記録、情報の保全の難しさとメディアの特性と、そして手元の「資料」と】でも言及している「石に刻むのがベスト」という、笑えない結論すら導き出せるわけで(無論石板版を出せとは言わないけれど)。


場所の問題や機動性、さらにはズームアップができる点など、電子書籍の利点は多い。この長所を最大限活かしつつ、電子と紙がさらに寄り添って、良い形でのコンテンツの利用媒体として「書籍」が進化してほいものだ。読み手も、創り手もハッピーになれるような。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年11月20日 08:14に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「「鉄道模型のレールのお掃除、どうやるのだろう」との疑問へのお答え」です。

次の記事は「今回のおめでたトミカは「紅白福々トミカ」ではなく「傾きものトミカ」になったのか」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30