象牙の塔と先鋭化

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先日かようなスットコな話を経済業界団体のトップが堂々と公言するのを見聞きして。「年金などの社会保障制度について消費者が不安を感じていることが消費が伸びない背景だという認識」的な話は常に「誰がこんなことを言うんだろう。自分の首が絞められて安心を増すとかいうのは単なるマゾでしかないのに」とかいうツッコミをしているのだけど、よもやこのような立場の人が...ということで、後で繰り返し検証されるだろうから、覚え書きとして。

今件のような話に「所詮企業の業界団体だから自分の権益を優先して語るのは当たり前」との意見があった。ただ、語っている事は直接企業の利益に結び付くわけではないし、「消費者が不安を感じている」という結論へのプロセスが利益云々以前のおかしなベクトルを向いてしまっている、少なくとも正常な物事の判断能力からでは導き出せないものでしかない。まぁ、実のところ、代わりに法人税などの引き下げが用意されているので、無茶苦茶な理論でも肯定しておかないといけない、という意味では利益に結びついているのだろうけど。

でもそれだって、誰を相手に商売してるんだ? というところまで考えると、やはりスットコなご意見に違いない。日本の経済の多分は内需で回っているんだから、その内需の首を絞める手法のどこが正当化されようか。

あるいは本当に、心底真面目な考え方として、「年金などの社会保障制度について消費者が不安を感じていることが消費が伸びない背景だという認識」を持ってしまっているのかもしれない。だとしたらどうしてだろうかと考えると、やはりツイートのような結論に至ってしまう。ある程度成功をおさめ、自分自身の考え方、方向性が正しいという材料を手にしてしまうと、世の中の環境が変わったり新たな事実が明らかになっても、自分の「真実」に固執してしまう。さらに、あれぐらいのお偉いさんになってしまうと、怖くて誰も間違いであるとかおかしいのではとの指摘ができなくなってしまうから、ますます先鋭化されてしまう。

要はいわゆる象牙の塔化現象が生じてしまうのだな。お仲間だけで先鋭化するのは別にいいのだけど、他人に、ましてや世の中に迷惑をかけるのは止めてほしいなぁ、と。

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このページは、不破雷蔵が2019年9月 8日 07:21に書いた記事です。

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