「終身雇用制の継続は難しい」と経済界のトップが語った重み

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経団連の中西会長は、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示した。大学側と経団連が議論した結果を、来週公表する予定。


経団連・中西宏明会長「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」


ここ数十年の間に少しずつ終身雇用制は当たり前のものでは無くなってきたというのは事実。特に今世紀初めあたり......ぐらいかな、からの実力主義・成果主義が叫ばれてから。実緑成果主義にウェイトがかかったので、後続の教育という成果が見えにくいことをするよりは、自分の営業成績を上げた方がマシだということで、新人などへの教育がおろそかになってしまったという指摘もあるぐらい(10年ぐらい前の新聞で見た記憶がある)。だから半ば以上、終身雇用制って制度は日本では「今は昔」ぐらいの状態にあるとの認識は、誰もが少なからずあったはず。

ただそれを、経済界のトップの発言として出してしまったことが問題。象徴化されるというか、具体的なものとして体現化されてしまう。偶像化と表現した方が分かり易いだろうか。頭の中にもやりとしていた概念が、ガッツリと形になって認識されてしまった。口にしちゃいけないことを、よりによって経済団体のトップが公言してしまった。もう後戻りはできない。

今後、対価支払いや労働環境の整備が市場動向とマッチしておらず、人材が集まらないと嘆いている企業は、ますますその状況が加速するだろう。「終身雇用制はもう無いんでしょ? だって経団連のトップが言ったもん」と労働者側に認識されてしまったから。終身雇用制ってのは、いわば労働者における保険のようなもの。対価報酬が抑えられていたとしても、ヘマさえしなければ定年退職まで雇ってもらえるという安定の保証のようなもの。それがもうないよ、といわれてしまったら、ならばこれまでの安定保証分で我慢していた実対価をリアルタイムで寄越しなさいといわれるのがオチ。


終身雇用制度はもう駄目だ云々ってのは給与引き下げを模索しているからなんだろうけど、実際には逆に引き挙げないと人材の流動化が加速するだけだよね、とか、相応な忠誠には相応な対価報酬って、要はごくごく普通の、当たり前の話なんだけど。その辺りの判断ができなくなっているってのは、やはり老化による認識の劣化が生じているのかな、という雰囲気すらある。あるいは環境の変化についていけない状態なのかな。

終身雇用制で無くてもいいや、という人も確かにいるけど、それが多数絶対派なのかというと、そうでは無いわけで。非正規化を求めるのなら、相応に対価も引き上げないと逆にコストは跳ね上がると思うよ。安全面の確保とかの観点で。

まぁ、あれだ。種を植えて育てようともせずに、その種すら食い尽くそうとする人たちには、農家の資格、存在意義すら無いよな、というのが正直な感想ではある。

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このページは、不破雷蔵が2019年4月21日 07:58に書いた記事です。

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