「貯蓄が無い人が増えている」の話と環境変化による指標のハリボテ化と

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先日「資料を掲示するのならその中身をしっかりと精査して、データ出典を明記した上で」的な話をした際に目に留まったグラフの一つに、貯蓄が無い人の割合が増加している云々ってのがあった。傾向はずっと前からで今の与党を非難するネタにはならないよなあという「つうこんのいちげき」的な話はさておき、この貯蓄ゼロの割合増加ってのはちょいと気になところがある。

出典がどこか明記されていなかったのが致命的だけど、出典を当たってもあるいは質問票まで公開されているかなあという不安がある。この「貯蓄」の定義ってなんだろうか、的な。

実のところ社会構造の変化で、通常利用の流動資金口座が、半貯蓄的な状態になっている可能性が高いのだよね。カード払いが増えているのとオンライン決済の増加で、下手にその支払いと連動させている口座の残高が少ないと、引き落としができなくてヤバいことになるから。例えばカードやオンライン決済はすべてA銀行口座で行い、その口座で貯蓄も兼ねていたとしたら、A銀行口座の残高は貯蓄と認識するだろうか。貯蓄と考えるのは、貯蓄専門の口座ってのが普通で、それをわざわざ作る人がどれほどいるのかってこと。まぁ、色々な決済は銀行で、貯蓄は郵便でという人もいるかもしれないけど。


指摘の通り貯蓄をするぐらいなら住宅購入というケースもありうる......というか若年層で住宅購入の割合が増えているのは統計的に裏付けが取れている。住宅ローンは貯蓄ではない。住宅ローンを払って、さらに流動資金口座と別途に貯蓄口座を設けるってのは、結構ハードなお話。

また、会社員ならば財形貯蓄制度を使っている人も多分にいるだろうけど、これも貯蓄の一形態。国民年金基金の類もまた然り。その辺りの認識をどこまでしっかりした上で、回答しているのかなあ、と。

ともあれ今件「貯蓄ゼロ」も随分と背景が怪しい気がする。貯蓄率周りの話【貯蓄率減少は本当なの? 家計の貯蓄率をグラフ化してみる(二人以上勤労者世帯版)】でも触れているように、年齢階層構造の変化も一因じゃないかなあと思うし、上記の通りお金周りの構造が大きく変わっているのも要因だろう。

エンゲル係数にしても、先の所得中央値にしても、関連しうる社会構造が変化したら、そのまま比較はできない。比較しても、それは数字が変わったね、以上の意味は無いのだよね。

あとは...世帯持ちの場合、家計の計算をどうやってるか、だよね。●×家の銀行口座ってのは無くて、大抵は夫か妻の口座を家計口座的に扱っているはずだけど。家族構成員としてのそれぞれの口座との切り離しも合わせ、個人の強調感が出てきたのも、貯蓄ゼロの人が増えている云々の一因かもな、と。

            

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このページは、不破雷蔵が2017年10月 8日 08:03に書いた記事です。

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