消費税のワナ、逆累進性

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消費税に関しては「他国もやっているから」「薄く広く公平だから」などのとの説明があるけど、他国うんぬんってのは正当性の理由にはならないし、8%云々で薄く広くとはとても言えない状態。また、蓄財している人からの吐き出しの中での課税というのなら、むしろ物品税などの過去の課税方式の方が理にかなっている。贅沢税的なもので、余力のある人は、多少高くても調達するだけの余裕があるからだ。第一、消費税の引き上げの中で軽減税率の導入をしたら、物品税と実質的には変わらないから消費税そのものの意味がなくなってしまう......的な話は以前【消費税率を上げて軽減税率の導入が不可避なら、いっそのこと消費税を廃止して物品税を復活させてはどうだろうか】など複数の記事で挙げている。

逆累進性については頭の中で考えがぐるぐるしていて文字化がなかなかできなかったのだけど、それをすっきりとさせてくれたのがこのお話。所得の大きな人ほど支出も増えるけど、支出全体に占める割合は減退し、余力は比率的にも金額的にも増えていく。エンゲル係数の概念のようなもの。で、支出の部分に一律に税金がかかるとしたら、当然所得の小さな人ほど負担はかかる。

ならば贅沢税的な物品税にして、消費税は廃止してしまえば、贅沢品を購入する余力のない人の負担はぐんと軽くなる。そして贅沢品を買う人は、多少高くても買うのが通常の行動性向。どうしても欲しい、贅沢したいという心境の時に、3%高いから買わないという発想は多数派に及ぶだろうか。

例えば前世紀に物品税を廃止して消費税を導入した後、物品税がかかっていた贅沢品の類の消費は増えただろうか、ずっと増えたままで現在まで継続しているだろうか。その増減に、物品税の廃止の影響はどれほど見られるだろうか。

それに加え、税金のようなネガティブな行為は、日々の生活で認識されることで、精神的なプレッシャーとなり、消費行動を減退させる要因になる。「税に対する意識を高める」うんぬんとの話もあるけど、高まりすぎて消費が抑えられ、景況感を押し下げたのでは何の意味も無い。「社会保障の安定が増税で達成できれば安心感が広がり消費が増える」もまた奇妙な決まり文句で、どのような経済的裏付けがあるのか知りたいところ。


金の密輸うんぬんはさておくとして、貧困層ほど負担が大きくなる税金を賛美し、社会保障がどうとかいうのは、確かに矛盾している気がする。それと指摘されてそういえばと思ったのだけど、国そのものや自治体が支出する経費も消費税がかかる。地方の場合は地方消費税が受け取れるけど、同じように支出も増えるわけで......想像されているようなほどの効果は無い感もある。

この辺りの話、まとまった論文か何かがあると良いのだけど。

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このページは、不破雷蔵が2017年7月 2日 07:58に書いた記事です。

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