「『貧困化ニッポン』の実態」の実態

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日本の家計に異変が起こっている。手取り額は過去20年間で月7万円近く減少し、エンゲル係数も29年ぶりの高水準となっている。日本の貧困化はどこまで進んでいるのか? 家計の見直し相談センター・藤川太氏が「貧困化ニッポン」の現状を解説する。

配信されたのは日曜で、目に留まったのが火曜日なのでツッコミが遅れたかなあという感はあるけど、思わずツッコミをせざるを得なかった記事。貯蓄ガー貧困ガーという話で......えーと、一応これ、プロの先生の記事なんだよね、と見直したら、家計の見直しが本業だから、煽る必要があるので仕方がないのか。

家計調査絡みでよくある誤解釈がいくつかあるので指摘しておきます。エンゲル係数の上昇ですが、昨今の上昇分は食生活の変化(中食化の進行)によるものです。エンゲル係数は「食生活や食の周辺環境が変化しない状況下における、生活様式の苦楽度合いを表し得る指標」であり、食生活に変化が生じれば比較指標としては意味のないものとなります。また全体値に限れば、係数が高くなりがちな高齢者世帯が増えているのも一因です。


可処分所得も同様で、世帯主の年齢階層別に見ると、現役層では今世紀に入ってから上昇・横ばいの層が殆どで、高齢層が幾分の減退にあることが確認できます。そして元々可処分所得が少ない高齢層世帯の比率が高くなるので、全体値としても下がることになります。

さらに中堅層までに限れば、持家性向が強まっており、貯蓄が不動産にシフト(家計上は負債となる)のも貯蓄が減っている一因でしょう。


で、文字数制限などの中で詰め込めるだけ詰め込んだのがこの解説。リンクは張れないしアレなのでコメントには入れてないけど、ベースとなる解説記事も合わせて。要は、エンゲル係数は現代ではあまりあてにならない指標となっているし、昨今では関連する環境が大きく変わっているので数字の変化には何の意味も無い。可処分所得の動向も合わせ、高齢者世帯が増えているのだから全体値もそちらに傾くのが当然。

また、貯蓄云々というものに関しては、今世紀に入ってから住宅所有傾向が強まっているのが要因ではないかという感じ。住宅ローンは重荷になるので金銭のあれこれを貯蓄まで回せないけど、ローンで買った住宅は資産となる。でも家計全体の財務諸表を作るならともかく、お金の動きだけなら、住宅はローン部分で負債となり、貯蓄とは無関係になるんだよね。

......まぁ、こういう話をしてもウケないってのも悲しい話ではあるのだけど。

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このページは、不破雷蔵が2017年6月28日 06:56に書いた記事です。

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