「共謀罪」と「採決強行」「強行採決」

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最後は「数の力」で押し切った。「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を審議した19日の衆院法務委員会。自民、公明両党と日本維新の会は審議時間が「目安」の30時間に達すると、大勢の野党議員からのヤジと怒号にひるむことなく、淡々と採決し、可決した。深まりや歩み寄りのない議事に、国会の内外では嘆きや憤りの声が相次いだ。

朝一で目に留まったニュースにヤフーのオーサー権限で解説コメントをしたと思ったら、入力様式が変わっているのに気が付かず、一般の人としてコメントしてしまって「ヤバい、やり直さねば」と再確認をしたら、解説コメントができないタイプの記事ということが判明して、ヘマ打った感。仕方が無いのでこちらで改めて。

ISILと「イスラム国」の時にも感じたのだけど、分かりやすければ正しくなくても別にいいじゃん俺たちの正義じゃん文句を言うなコンチクショー的な雰囲気が強いのが、「共謀罪」や「強行採決」の言い回し。最近では非難が強いからなのか「採決強行」と逆にしてみたり、「『共謀罪』」と鍵カッコをつけてみたりするけれど、そのせこさがますます報道の質の劣化を実感させる。

記事本文では「「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案」とあるけどタイトルでは「共謀罪」。略として「共謀罪」を使うのは正しい手法とは思えない。今件記事を含め一部報道機関ではいまだにそのまま、あるいは鍵カッコつきで「共謀罪」と表記しているけれど、正しい表現を用いることも報道機関に与えられた社会的責務のはず。これでは印象操作をしていると疑われても仕方がない。

また「与党側が~」「野党が反発」などの表現も、野党の日本維新の会が賛成に回っている以上、「与野党側」「一部野党が」とすべきであり、こちらも正しい状況を示したものとはいえない。

さらに「採決強行」「強行採決」の文言を利用するにあたっては、その定義を明確にすべき。全員の意見が取り入れられなければすべて「採決強行」「強行採決」と表現しなければならなくなる。そしてそれは正しいのか否か。報道側の都合の良いように使い分けしているのではないか。全員の意見を取り入れずに採決すると、書き手によって「強行採決」「採決強行」ともできてしまう。まさに印象操作でしかなく。これを平気で成すことは、報道にとって自害行為以外の何物でもない。

人は情報を入力して判断の材料として脳内で考え、結果を情報なり行動として出力する。プログラムの基本と同じようなものと表現すれば分かりやすいかな。そうである以上、印象もまた情報に他ならず、それを許容範囲以上に操作することは、フェイクニュースとされても仕方がない。

最近特に、朝日や毎日、それに共同や時事といった通信社で、この類のフェイクニュースが目立つようになってきたのは、ある意味報道としての危機が顕著化していると評してもよいのかなという気がする。アメリカ合衆国も大統領選挙が本格化して以降、こんな状況が続いているようだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2017年5月20日 07:53に書いた記事です。

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