Kindle Unlimitedがもたらした認識と「たくさんの中からひとつ」と

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先日日本のアマゾンでも展開を開始した、有料図書館方式的なサービスKindle Unlimited(KU)。鳴り物入りという表現が当てはまるほどの注目を集めたはずなのだけど、スタート後はなんだか失速した感もあり、同時に色々な方面で刺激的な影響を与えている。

その動きの一つが、上記に指摘されている「たくさんの中からひとつ」的な存在。普通の図書館の場合には読みたい本へ直接アプローチをしたり、気になる分野のコーナーに足を運んでいくつかを手に取って精査ができる。しかしKUの場合は元々ウェブ系のラインアップであるから、ブログやサイト同様に、目立つもの、上位表示されるもの、元々人気があるものはより注目され多くの人に手に取られるけれど、そうでないものはどんどん埋もれてしまう。

手に取りやすい、分かりやすいというウェブ上の利点が、注目されるものとそうでないものの格差を広めてしまっている次第。これはKUに限った話では無く、一極集中化がなされやすいウェブ上のものであるからこそ、直接つながるファン層を多様なルートで確保する、言い換えれば色々な方面でアピールする機会を設ける必要がある。ブログを更新したらRSSで通達するだけじゃなく、メルマガで連絡したり、ツイッターやFacebook、LINEなどでお知らせする、自分のYouTubeチャネルでも流すなどなど。とにかく多数のチャネルを創ること。


また、KUでは有料による購入よりも購読ハードルが低くなるため、必然的に読まれやすい作品の購読量は増えてくる。ランキングは概してPVなどで勘案されるので、普通に購入されるケースの作品とKUのがごちゃ混ぜになると、KUの作品ばかりが上になる。もりもり配られるルートがあるフリーペーパーと有料雑誌とではどちらが部数は上になるかを考えれば、理解は容易にできるはず。無論、相応の質は求められるけど。


KUだけに限っても、こんな話......というか状況が生じている。登録されている作品はページ単位で報酬が支払われる。要はPV単価計算。で、ページの中身は勘案されない。だからぶっちゃけ、真っ白で真ん中に「あ」と書いてあるだけのページでも、1000文字ぐらいがぎっしり詰まった文章でも、同じ1ページなのだからページ辺りの報酬は変わらない。理不尽かもしれないけれど、それがこの仕組み。

なので、コストパフォーマンス的なものが生じてくることになる。もちろん文字数が少なくてビジュアルが多い作品でも、その作成に投入された労力はまた別計算となるので、絵ばかりのページが楽に儲かるとは言い難い。「攻殻機動隊」の士郎正宗先生の作品のような、ぎっちりと詰まった絵もあるし。

ただ、指摘の通り、読者がページ辺りの閲読に要するスピードを考えると、ページめくりが容易になされる作品の方が、有利といえば有利になる(作品そのものへの潜在読者数とか色々と考えるべき要素はあるけど)。

指摘では写真集や漫画や雑誌の方が、ページ辺りの閲読時間は短いので有利かな、との話。これを突き詰めると、絵本が最強になる。


ある意味その通り。絵本が充実してくれば、毎日違った絵本を選ぶことができるので、非常に良いビジネスとなる。

●×し放題の市場を創ると一極集中化して埋もれてしまうって市場動向は、実のところすでに音楽界隈やら動画周りでも生じている。書籍の場合はよりその傾向が強くなるのではないかな。

以前ちょいと触れた、VR方式の図書館なり本屋を創り、検索してぱっと最適化された解答が出て来るのではなく、あちこち歩き回って偶然の出会いを楽しめる的な要素が、KUなどの●×し放題サービスにも工夫の一つとして求められるのかもしれない。

ただしそれは、利用者側にしてみれば、不便に思えるのも事実。そのギャップをいかに埋めていくかは、これからの課題、工夫次第ってところなのだろうな。

            

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2016年9月17日 07:42に書いた記事です。

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