漫画家の方に個人が直接有料で絵を描いてもらう「コミッション」という考え方

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出版業界の影響力が桁違いに落ち込み、個人の情報発信手段が多様化するに連れ、絵などの作品を個人が直接アプローチする方法論が注目されるようになった。クラウドファンディングによる作家へのサポートやその特典なども一例ではあるし、アマゾンの欲しいものリストもそれに近いものがある。また匿名掲示板等におけるリクエストコーナーとか、ツイッターなどのソーシャルメディアでのやりとりも(無償奉仕だけど)それに近い。いわゆるスケブといわれるのも該当するのかな。

さらに歴史をさかのぼれば、王族や有力貴族がお抱えの絵師を雇ったり、あるいは高名絵師に自分の絵を描くように依頼するとか、今でも時折繁華街で見受けられる「有料で似顔絵描きます」の類もコンセプトとしては同じなのだろう。要は不特定多数への披露を前提としたものではなく、特定個人、あるいはごく少数に向けた作品制作の依頼。

その辺りの話を色々と見ていくと、確かに日本では「対価」という概念が薄い、欠けている感は強い。形にないものは原則タダみたいなところもあるし、創作物への金銭による報酬が、何か汚らわしいもののような雰囲気がある。違うよねえ、ホント。あるいは「気持ち、想いがあるのだから金銭などは別に払わなくてもいいよね」的な甘えがどこかにあるのかもしれない。サービス残業を強要する経営者に話を聞くと「愛社精神があれば云々」的なものを言い出すような。


本当の意味での「ギブ&テイク」。お金はそれを仲介する媒体で、まずはその場で極力決済しておき、加えてさらに想いがあれば今後に連ねていく。それを「決済」の部分をパスして、「今後何かあったら」のみで善しとしてしまい、その「借用書」を心の奥底にしまいこんで決して出そうとしない。あるいはゴミ箱に捨ててしまう。それらは元々タダだから。

ドライな考え方かもしれないけれど、本来相手を信用してのやり取りであったはずのものが、それを悪用して実利ばかりを得て借用したものを返さない筋が多い、不義理がまかり通るようになってしまったので、担保となる「決済」が必要になってしまったんだろうな(無料でスケブを何度となく頼んでいた「ファン」が、それを一つにまとめてオークションで売りに出したのを見つけて、その作家先生がスケブを描くのを止めてしまったって話もある)。その意味では海外の風習はむしろ進んでいるともいえる。

ともあれ。個人的には「描き手に直接対価を渡して絵を描いてもらう」という方法論は興味深いし、確か一部のクラウドファンディング系サイトではそれに近い形のやりとりも行われている。ただ日本では版権やら第三者への披露の件、そしてなによりも対価の相場の点で、難しいのかなあ、という気はする。だってほら、LINEのスタンプとかツイッターのアイコンに係わるイラストの件で、対価どころが無料で描け的な話は、山ほど挙がっているからね......。

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このページは、不破雷蔵が2016年3月25日 07:42に書いた記事です。

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