「奨学金」という名前を変えるべきか否か、そして契約内容を確認できているのか

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学費を払うのが難しい大学生にとって奨学金は重要な存在。しかし、多くの奨学金が返済義務のない給付型ではなく、貸与型であるということから、「卒業した途端に借金を抱えてしまう」ケースが多いと、問題にもなっている。

奨学金制度は以前から存在し、滞納に絡んだ話も相当前から一定率は存在しているのに、ここしばらく間で大いに騒がれるようになったのは、先日の保育園周りの事案同様、意図的な香りをダイナミックに覚えるので、一歩引いた目で見るってのが当方のスタンス。各種資料として記事を引用されることも結構見受けるのだけど、解釈がかなりぐだぐだな例もあり、頭を抱える事も少なくない。

「奨学金という名前を変えればいいのでは」とする今件の引用元の記事も、主旨としてはその記事のタイトルでオシマイ的な感じで、かつ当方も以前から忠告的な形で突っ込みはしている。「奨学金という紛らわしい名前をしているからいけない。その名前ではもらえるものと勘違いしてしまう」という意見ならば、「名前を『奨学金』以外にすれば、今騒いでいる人たちはすべて黙ってしまわざるを得ないけれど、それでいいの?」ということになる。本質としては大学生の学費負担が重くなっている、そして給与型の奨学金に係わる情報を取得していない、利用していない人が多いのでは、ということなのに。

もう一つ、これは以前から首を傾げているのだけど、「名前が給与型のような『奨学金』だからいけない」との主張。実のところ思いっきり破綻しているのではという気がする。ゲーム内のコマンド入力のようにイエス・ノーの二択で選択したり、ツイッターの騙しリンクでクリックしてしまったり、インチキなバナー広告を押してしまったり、オレオレ詐欺でその場で口座番号と暗証番号まで語ってしまったり。そんな感じで即時に奨学金の契約を結んだのだろうか。

そんなはずはない。奨学金に絡んだ詳細の説明を受け、給与では無く貸与であること、返却の義務があることの説明を受け、あるいはそれを知った上で申込み、その上で了承していなければ、奨学金の貸与は受けられない。契約した時には給与と書いてありそのような説明を受けたのに、いつの間にか貸与となっていたとかいうのなら話は別だけど。

この辺りは以前問題視された、消費者金融のグレーゾーン周りとはまったく別物の話。この点を明確にしておかないと、単に声が大きい者勝ちといった、おかしな風潮が出来上がってしまう気がする。

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このページは、不破雷蔵が2016年3月18日 07:04に書いた記事です。

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