『統計は ウソをつくぞ』と 嘘をつき

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先日、統計に絡んで「統計はしばしばウソをつくので信用してはならない」的な話をちらりと耳にしたので、コメントでツッコミをしたいところをぐっと我慢して、こちらでとりあえず思いをまとめてみる。統計そのものは数量的でウソはつかない。計算時や調査取得時のミス、意図的な取り違えはありうるけれど、それはその行為を行った人のミスや悪意、ウソであり、統計そのものがウソをついているわけじゃない。この辺りはプログラムと同じで、プログラムはあくまでも記述されている命令を忠実に実行しただけ(命令の基本部分でバグが生じていることもあるけれどね)。

「統計は嘘をつく」ってのは実際には統計自身では無く、その集計・計算をする、あるいはそれを利用して解釈する人間が嘘をつく。当方の記事を引用する形で、その類のウソをついている人をしはしば見かけるので、その実態は良くわかる。

またこの統計に絡んで、「統計ではこのような結果が出ているけれど、現場の意見としてはこういうものもある」とし、統計結果を否定するケースも結構見受けられる。統計値で100対ゼロで無い限り、それは事実ではあるけれど、それをもってして統計の内容を否定すると、統計値に現れた多数の実態を軽視・無視することと同意になる。統計でAが絶対多数との結果が出た、でもBがあるとして反論がなされると、「ではAではなくBなのだな」というおかしな論調がまかり通ってしまう。多数のAが無視されてしまう。でも得てして人はそのような手法に騙されてしまいがち。極端な事例は注目を集めるのには良い材料ではあるのだけど、それは特異な例でしかない。


かつてアワーズで連載されていた「裸者と裸者」から。原作は読んでいないので原作に同じ描写があったかは分からないけれど、至極の名言。「統計とは残酷さを打ち消す残酷さを持っている」。まさにその通りなんだよね。

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このページは、不破雷蔵が2016年2月25日 07:37に書いた記事です。

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