メディアに露出する「ニセ医学」にだまされても、それは患者の自己責任なのか

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高齢者は若年者以上に病気に関する興味関心が高くなる。で、現代医療科学ではなかなか状況が進展しない事例もあり、宗教的なもの、民間医療的なもの、そして詐欺手法的なもののアプローチに吸い寄せられることになる。SF商法、オレオレ詐欺の医療医学版的なものと表現すれば分かりやすいか。該当記事では登録しないと全文が読めないのがアレだけど、「自己責任」として患者が悪いといいきっていいの? よくないよね的な話。

アンケート調査の結果があったようで、それによるとニセ医学(医療)とイメージするもののトップは「広告過剰なサプリメントや健康食品」、続いてメディア露出や出版活動が盛んな某K医師の「がんもどき理論」、そして1型糖尿病の男児がインスリンの投与を中止して亡くなった話で注目を集めた「霊的療法」。【「ニセ医学」と聞いて思い浮かぶのはアレ】に詳細があるようだけど、こちらも登録が必要。この類はプレスリリースにして広く周知させる必要があると思うんだけどねえ......。

まぁ、それはともかく。

エセなりニセ医学...に限らず、科学、さらには論理的な話が否定され、妄想的なものが信奉されてしまうのは、指摘の通り、それを広く知らしめ、裏付けを与えてしまうメディアの責によるところが大きい。患者自身の責もあるけれど、ウェイトとしてはむしろ伝える側の方が重責。先日のステルスマーケティング周りで問題視されたのも、それ自身よりも、大手ポータルに転送されて爆発的に広まり、さらにそのポータル配信という裏付けが成されてしまう点にあった。それと構造は同じ。

もっとも、そのステルスマーケティング周りでは「それやると信頼性そのものが損なわれるから勘弁ならん」としてポータル側が断固たる措置に出たので、色々とメスが入るようになったわけだけど、ニセ医療・医学に関してはむしろメディアが積極的に後押しして利用している感は強い。ここでも何度か取り上げているけれど、漫画や週刊誌界隈が好例。


結局これね。例えるならファストフードは危険だから控えましょう的な特集雑誌の広告一面に、ファストフードやファミレスの広告が載っているようなもの。嫌煙雑誌にたばこの広告でも良い。広告を出しているってことは、その雑誌が掲載を認めている事に他ならないのだからね。ウェブの広告配信システムのように、掲載側でどのような広告が表示されるのか把握しにくいようなものじゃないんだから。

何度か言及しているけれど、例えば近藤氏のことを持ち上げている小学館や他の週刊雑誌刊行出版社は、ニセ医学周りに関しては何も言及はできないはずで、さらにその類の詐称に加担していると指摘されても否定はできない立場なんだよね。


......で、このような話をすると必ず出てくるのが、表現の自由がとか、あくまでも一意見だからというもの。後者についてはステルスマーケティングとポータルサイトとの関係と同じように、不特定多数への周知と権威付けの加担をしているのに他ならないし、前者は「自由はあるけれど、相応の責任もある。その責任を取る用意はあるの? とったことあるの? 報道の自由とか表現の自由って、自由奔放とは別物だよ」的な。ある意味これも、職権乱用の類な気がする。

さらにこの類の指摘をすると「萎縮云々」と反論する筋もある。正論説かれて萎縮するようなもののどこに信義や正しさがあるのかな、と。

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このページは、不破雷蔵が2016年1月 4日 08:10に書いた記事です。

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