だぶつき気味の原油、まだまだしばらくは安値低迷が続きそうな話

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石油輸出国機構(OPEC)は4日、原油生産目標を決める定時総会をウィーンで開いた。ただ、声明では生産目標を明示せず、高い水準の生産を容認する姿勢を示した。これまでの生産目標は日量3千万バレルだったが、判断を棚上げした形だ。原油価格は低迷しており、OPECの判断が注目されていたが、高い水準の生産容認により、原油相場は一段と下落圧力がかかりそうだ。


中国や欧州景気の低迷や米国の新型原油「シェールオイル」の増産などを背景に、原油の供給過剰感が強まり、国際価格は下落基調にある。国際指標の米国産標準油種(WTI)は、昨年7月まで1バレル=100ドルを超えていたが、足下では半値以下の40ドル付近の低水準で推移する。


昨年の夏あたりから下がり始めた原油価格。ちょっとしたリバウンドを何度か見せたけれど、そのたびに頭をどつかれる感じで値を落とし、40ドル内外での水準が続いている。

原因はいくつかあり、どれか一つが正解ってことではない。ダーイッシュ(ISIL)への資金面での圧力、アメリカ合衆国のシェールオイルに対する兵糧攻め的な攻勢、相場自身が値を下げているので、その分量を売らないとキャッシュが手に入らず、それゆえにますます供給量が増えてだぶつきになる......まぁ、複数のルートでチキンレース的な感じ。

で、今回の発表でも、生産量の維持どころか増産の気概がもりもりで、少なくとも需給の観点では引き続き安値、下手するとさらなる価格低下がありえそうとの話。

以前見かけたレポートでは来年春以降は価格も持ち直しを見せる、つまり上昇を再開するということだったんだけど、OPECの足並みが乱れるどころか統制が取れなくなっている以上、値を上げるのはもうしばらく先の話になりそうだ。別の意味でキャッシュ的に余裕のない中小国とか、他の資源大国の方が先にネを上げそうだけど(中東方面のいくつかの国に対してスキャンダラスなリーク話が出ているのも、それが要因かしら。圧力、みたいな)。

購入するサイドからは安いにこしたことはないのだけど、その分、代替エネルギーへの機運が萎えてしまい、開発が遅れてしまうのは困りもの。先物でまとめ買いするのは別としても、物理的に溜め込むってのも限界があるし、コストもかかるからねえ。それこそウランや「超人ロック」に出てくるロンジット鉱のように場所を取らないのならともかくとして。

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このページは、不破雷蔵が2015年12月 6日 08:04に書いた記事です。

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