「卵が高値をつけているのは、円安のせいだ、政策のせいだ、政府のせいだ」とつまみ食い的印象論の怖さ

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大手の卵販売会社「JA全農たまご」によりますと、卵相場の目安の1つである、東京地区のMサイズ1キロ当たりの卸売価格は、今月14日から18日までの平均が250円で、先月より13%値上がりしました。9月の平均の卸売価格が250円に達したのは平成7年以来で、20年ぶりの高値水準です。

先日報道された、ちょっとしたニュース。卵が値上がりしているよね、という、物価バロメーター的アイテムの卵の価格動向について触れたものだけれど、この「値上がり」部分だけを見聞きし、円安が、政策が、政府が悪いとする意見を見聞きした。わざわざツッコミをするのもリソースの無駄だから解説は止めておいたけど。

そのニュースを最初から最後まで読んでみれば分かる通り、卵価格の上昇は需給問題。供給は8月上旬までの猛暑でニワトリが卵を産むペースが落ちた一方、下旬以降は一転して冷夏となったことを受け、おでんの売れ行きが平年より伸びたことから、卵の需要も伸びた結果、供給減・需要増との状況となり、当然、価格が上昇することになったため。

大手コンビニチェーン「ファミリーマート」によりますと、おでんは、例年は秋が深まる10月以降によく売れるということですが、今シーズンは秋の訪れを早く感じられるようになったためか、気温が下がった先月下旬から売れ行きが好調だということです

と、ちょっとばかり珍しい言及も確認できる。元々おでんが8月半ばぐらいから展開するのは、前日より気温が下がると「寒くなってきたかな」と認識するため。で、一番売れるのは秋口だったりするのは以前も触れたけど(【コンビニでのおでんの販売動向と「夏からおでんが売れる」話の裏付けを調べてみた】とかね)、今年は結構な変動が生じていそう。これなら卵需要が伸びるのも仕方なし。それに毎年コンビニ数は増えているし、目の前でサクッと準備できて自宅に戻ればすぐ食べられるタイプの調理品は需要が大きくなる傾向がある。あと、卵は例のなんちゃらダイエット周りでも人気がある......との話も聞く。

で、そのように相応に説明はされているのだけど、卵値上がりとの部分だけを見聞きして、今件とは別物の、少なくとも報じられていない内容と結びつけて叩きに入るのは、どうしたものかなと頭を抱えたり。

まぁ、でも報道周りの話って、この類のが多いんだよね。全部の報道を隅から隅まで読んで覚えている人などほとんどいない。先の4つのチェックポイントの話でも触れてるけど、多くの人は写真の印象や、よくてタイトル、小見出し位で大体をつかみ取ってしまい、覚えてしまう。だからその部分を改変したり、印象付けさせるような意図を盛りこんだり、誤認させるようなものを用いてはいけない。それをやると、例の有名な風刺が「It's media」と同じになってしまう。その怖さを改めて、今件の卵関連のニュースで知った次第。

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このページは、不破雷蔵が2015年9月21日 08:29に書いた記事です。

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