悪意のある盗取と悪意のない盗取と。どちらも盗取には違いないのだけど

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デザイナー佐野研二郎さんは8月14日、盗用疑惑が指摘されていたトートバッグ(関連記事)について、スタッフが第三者のデザインをトレースしていたことを明らかにして謝罪した。自身のデザイン事務所MR_DESIGNのWebサイトにコメントを掲載している。

先日から話題に登っている有名デザイナーによるデザイン盗取問題。疑惑対象側から「スタッフがやらかした」との公式ステートメントが出たけれど、色々な意味で悪手に違いない。自分自身はやってないから一義的責任は無い、とのつもりなのかもしれないけれど、これは逆にいえばこれまでの仕事の多分において、まともな管理をしてこなかったこと、本人自身の技術レベルの問題など、多様な点で疑惑が呈されてしまう。まぁ、クリエイティブな話にせよそうでないにせよ、「部下がやったこと」までは仕方ないにしても、「だから自分自身や自分が所属する場には一義的責任が無い」的なニュアンスの見解を出したらアウト。少なくとも痛い腹だの痛くない腹をこれからも探られることに違いは無い。

今件もスタッフがコピペ......的なものをしたとして、その時点で悪いこと、やっちゃいけないことなどの認識が無かったのか否かとなると、まぁ今後の聴取次第だけれど、色々な可能性が出てくる。で、これに合わせてではないけれど、こんな話があり、ちょいと考えさせられた。


悪質なパクツイ、集客というよりは注目を集めたくてコンテンツの盗用や捏造を繰り替えす、掲示板やツイッター上でのパクラーな人達の反応を見聞きしていると、多分に悪意そのものが存在しないと考えられる対応をしている場面に出くわす。自分が面白ければといったものをはじめ、自らの目的を果たせればよいという自己中心的な意図は誰にでもあるのだけど、その判断の際に評価がされる罪悪感が無い、あるいはそもそも学んでいない可能性がある。知らない、とでも表現すべきか。

統計を取っていない、まぁ状況的にとれるような事案でも無いので、今件が特殊事例の可能性はあるけれど、先日の某大学でのレポートに係わる話も合わせ考えると、イレギュラーで突発的で極めてまれで、という状況でもないようだ。学術的文章に限らず、引用や盗取・剽窃に関する問題、論理的体系を、教育の中に取り込んで教え諭す必要があるのかもしれない。いや、あるんだろう。人のモノをとってはいけません、お店からお金を払わずに商品を持ち出したら泥棒です、人の家に勝手に入らない、といったレベルの常識ではあるのだけど、指摘されてみれば確かにその辺りの話をしっかりと教えられる機会はあるのだろうか。

最後に挙げられている「博士論文と著作権」はテキストとしては良くできている内容。大学生レベルの学力を持ち合わせている人は、ぜひ一度目を通してほしい。

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このページは、不破雷蔵が2015年8月16日 07:22に書いた記事です。

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