テレビに登場する「コメンテイター」は専門知識や情報、見識のある分析のつけたしではなく「ウケるための観客の笑いや声援」的なもの

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これはテレビに限らず新聞や雑誌記事に登場する、専門家っぽい人による補助解説的な文面の中でも、専門家っぽい肩書はしているけれど実のところはあまり見識が無い、あるいはその方面では名を知られているかもしれないけれど、特定の方面にのみ偏った情報を有しているので解説には適さない人にも当てはまる話。

テレビの報道番組的なものがエンタメ化して、しかも質が下がってしまった、報道の意味を成さなくなったのはニュースステーション(今の報道ステーション)がさきがけでありトリガーだったとは何度となく触れているけれど、そこで行われたのがこの「ニュースのより深い所、詳しい話、補足情報としてのコメント」ではなく、「その場でウケそうな話、受けが狙える内容」を語る事。煽情でもいいし、視聴者の義憤感を盛り立て、納得させ、同意させれば良い。アメリカのホームドラマでよく見られる、どこからともなく聞こえてくる観客の笑い声や拍手、そんなものと同じレベル。


報道は受ける場合もあれば受けない場合もある。商売だから受けないと困る。ならばウケを得られやすいエンタメの手法を用いればいい。報道の形とは違うけれど、受けるのが優先するからそれで良い。

それが行われてしまうのは、ウケるのは「民度が低い」との指摘はあるけれど、これはまったくの正解というわけでもなく、もっと深い所にある、人が持つ業というか弱みを突かれれば、誰でも反応を示してしまうってのが多分にある。以前も触れたけど、グレーゾーン的なものであり、そこを積極的に突いた方が得をするって状況が続くと、皆がそれに続くため、結局全体が(グレーゾーンに明確な仕切り分けをされて)損をすることになってしまう。

「居酒屋談義」とはよくぞいったもので、はじめからその看板を呈して「その類の話ですよ」と第三者に公知した上での展開なら、あまり文句は言われまい。問題なのはそれを「専門家の解説」「報道番組」として、あるいは容易にそうだと誤認させてしまうようなスタイルで展開し、錯誤を与えているからに他ならない。

某所でのニュース記事に対する「専門家」のコメントでも、結構この類の「解説」が多くて頭を抱えるところではある。読者が求めているのは記事に対する補助的な、理解をより深くできるような情報、解説であり、「専門家」の主張やら想いを語る場では無い、みたいな。雑談を好むような場所はそこじゃない。


今件の新幹線の件も含め、居酒屋談義的な話で、専門家っぽいコメントで語られる、叩かれる対象の多くは、あまり反撃できない、いわゆる藁人形だったりするのも共通していたりする。公共機関とか公的機関、政府とかね。実際に指摘されるようなことをしているのならまだしも、半ば以上言いがかりな理由によって、叩いて喝采を浴びるためのネタとして、日常生活の維持を支える対象に唾を吐きかけちゃいかんのだよな。

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このページは、不破雷蔵が2015年7月 5日 07:36に書いた記事です。

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