娯楽のインスタント化、圧縮濃厚化の動き

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これは以前レモンジーナやファミマのフラッペなどに関して【ファミマのフラッペ新商品の品薄状態を「品薄商法」と揶揄する意見を見て】などでも解説したのだけれど、様々な技術や市場の発展で、情報なり流行り廃りのエネルギー的なものがどんどん時間的に圧縮されている感がある。

理由は大きく二つ、技術的な進歩に伴い広まるスピードが速くなったため、いざ広がる時には一気に広がっていくので、情報が持つ本質的な拡散エネルギーが一気に消費される。時間軸で見れば、10時間で1つ/h的な感じで広まるはずだったのが、2時間で5つ/h的に広まる感じ(総量はいずれも10個/10h)。

もう一つは、人が取得できる情報やコンテンツそのものが増えていくのに対し、処理できる能力も時間も変わりがないことから、一つ一つのコンテンツへの注力が少しずつ少なくなること。結果として全部を堪能している余裕は無くなるので、ダイジェスト版、さらには味見的なもので満足した雰囲気を味わえればよいってことになる。まとめサイト、キュレーションサービスが流行る、面倒が無く数分で把握できる動画が注目されるのも、多分にその傾向によるもの。

まぁ、ぶっちゃけると「こちとら忙しいんだ、だらだれ見てる暇なんてありゃしねぇ」ってところだろう。


最後のオチはともかくとして。先行するSteamの記事でも言及しているけれど、これは漫画や映画、小説に限らず、他のエンタメ、例えばゲームでもいえること。ソーシャルゲームが流行っているのも、その一つはすき間時間で遊べる、長く時間を消費する必要がないってのがある。チェックしたい対象が多すぎて、一つに割けるリソースが少なくなってるんだな。しかもちょいと味見して気に入らなければ、すぐに次のものに移行できる。ちょいと言葉は悪いけれど、飽食の時代がゆえの傾向。

こんな時代だからこそ、ますます「分かりやすく正しい」ことを創り上げる技術が求められるんだけど、斜め上的に「分かりやすいけど正しくない」ことを悪用する形で実践する例が増えている。誘導的に、的な感じとしては、悪質系まとめサイトやネイバーまとめが好例。ユーチューバーなるものが流行っているのも、これが一因なんだろうな。短時間であまり考えずに情報が取得できるから。

ただ、エンタメ系、その場その場で楽しめれば、後はすっきりさっぱり忘れてもそれでいいって類のものならともかく、何らかの形で後々まで記憶しておく必要がある情報について、このような細切れ的、雑多な圧縮されたものを細切れで受け取るような状況が続くと、それらを複数まとめて一つの情報として体系づける技術が必要なんだけど、それを習得しえているのだろうか。

それが出来ないと、同じことを何度でも繰り返すだけの、単細胞的な存在となってしまう。まるで毎日同じ日が繰り返される、24時間経つと記憶をすべて失ってしまうような。あるいは、単に部屋に買った本をぶち込むだけで、整理整頓もせずにゴミ屋敷と化すような。それどころかぶち込むこともせず、次から次へと、右の耳から入れて左の耳から出していく、感じなのかもしれない。

ああ、だからこそ最近、世間を煽動させるようなネタ的なウソ話の、リサイクルの間隔が短くなっているのか......と考えると、妙に納得がいったりもする。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年6月 9日 08:17に書いた記事です。

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