「報道」のハードルが下がった現状と従来の「報道」が特権を有する理由と

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くだんの中学生関連の事案については、その特異性・重大性などから少年法に絡んだ論議が色々と多方面で交わされているけれど、それと合わせて「報道」って何ぞやという話が改めて注目を集めている。この話もそれを裏付ける......というか改めて思わせてくれた指摘。要は関連事案に絡み、一般のネットユーザーが生中継でネット配信をしたところ、警察からツッコミを受けたというもの。


この辺の話は昨年の御嶽山報道や例の「戦場ジャーナリスト」周りをはじめ、繰り返し伝えてきた、考えてきたことではあるのだれど。インフラやツールの普及浸透高度化に伴い、従来の報道と一般の人たちとの垣根が曖昧になり、区分が難しくなったのが大きな理由だと思う。かつてソニーが業務用のデジタルカメラとほぼ同じ仕様のものを民生用として、個人ベースでも購入が可能な価格で発売した時に、「これなら一般人も新聞の紙面を飾れるような写真を即時伝えることができるようになるよね」と思った時の懸念......というか予想が、何倍にも広がって現実のものとなった感。

そして最後に指摘されている「報道記者さん達まで本来の仕事出来なくなるじゃん」ってのがけっこう重要。「で、仕事って何よ?」ということになる。そもそも線引きが必要なのか、その線引きはどのような事由でなされているのか。その線引きの中に居るとされるものは、内包される部分で守られるのに値するものなのか。そして線引きの際に求められる義務や倫理、責務を、その線の中にいる対象はしっかり守っているのか。


今件の直接の事案である、一般人による生中継の行為そのものの是非はともかくとして(当方の個人的見解としては「非」を呈しておく)。指摘の通り「自由」を掲げることで生じるさまざまなリスク、責任を負うのも当然の話となる。よく語っている「自由と自由奔放とは別」の観念だね。今件のニコ生主が現場の関係者からツッコミを受けたり、警察に話を聞かれたのも、その責任やトラブルに過ぎない。で、似たようなことは一般報道もしているよね、という話になる。彼らが出来て一般人が出来ないのは不当な特権では無いのかというのも考え方の一つ。

報道は情報を集約し、不特定多数に多種多様な情報を配信する仕事をしているのだから、その過程で「報道の自由」をかざして取材行動をしても良い。その位の権限が無いと、伝播する情報を取得するのは難しい。その為に色々なネットワークを構築し、機材を揃えている。まぁ、特殊技能、情報伝達ツールというステキアイテムを持つ、特権階級、王侯貴族みたいなものだ。

ところが技術の進歩は、その特殊権限の裏付けの一つとなる機材やらネットワークを、不特定多数の一般人が手軽に取得できるような時代にしてしまった。一方で報道に携わる人たちの質の問題や「報道の自由」を盾にした横暴な振る舞いも目に留まるようになった(これもまた技術進歩のたまものではある)。

裸の王様が馬に乗ってあちこちにお触れを出して、高速な情報伝達の特権を得ていたけれど、庶民も馬を有するようになりスピーディな情報のやりとりが容易になって、「王様以外でも情報の伝達ができるようになったよね」「で、やっぱり王様って裸やん?」みたいな話になった次第。

この辺の話は加藤AZUKIセンセが上手く絡めてくれたので、その辺をまとめて。


この辺の話はウェブ系の報道媒体が本格化しはじめた頃から大なり小なり討論されてきた話ではあるし、日本国内に問わず海外でも論議が交わされている。ただ、海外の場合は既存媒体の権威がさほど強くない事、個人ベースでの情報伝達とその個人の信頼性にウェイトが結構大きいこともあり、日本と比べて垣根は随分と低いし、問題周りもスマートな形で進んでいる感はある。

他方、日本国内では例えばヤフーやニコ動のようなポータルサイト内でも既存媒体との違いや差別化に悩んでいる感はあるし、それ故に模索している状況も良くわかる。昨年のヤフー個人ニュースカンファレンスでも、独立ネット系媒体からの代表者と、既存媒体系からの代表者の意識の違いがよくわかる話が出ていたし、ね。

報道におけるツール上での特権が無くなり、内包している構成員の質的劣化が露呈され、個人ではスマホの所有とインフラの普及で報道関係者と何ら変わらない発信力を持つ。昨今の事件や事故において個人が取得した動画や映像について、従来型メディアが取材と称して各情報を取得し、中には規約に反する形で使ってしまう事例もある。

冒頭でも触れたけれど、今件の中学生事案に関しては、少年法の扱いと合わせ、報道とは何ぞや、報道の特権って必要なのか否かまで含め、考える機会を与えてくれることになるのだろうな。

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このページは、不破雷蔵が2015年3月 6日 08:20に書いた記事です。

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