この時期増えてくる「作家になりたい」「イラストレーターに」というあれこれ

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作家や漫画家、イラストレーターやデザイナーを揶揄したり卑下するものでは決して無いと前置きして。【進学? 就職!? それとも...?? 高校生の「将来の進路」を探る(2015年)(最新)】などでも触れている通り、年度末になると将来の進路に関するお話が山ほど出てくる。そして中には自分のやりたいものが見つからない、進路の見定めが出来ない、楽ができる仕事をしたいなどの思惑から、ゲームクリエイターや小説家、作家など、いわゆるクリエイター系、匠系の仕事に就きたいとする声を挙げる人が結構出てくる。

もっともそれらの大部分は単なるモラトリアム的なものを狙っていたり、表面の部分のみを見て「あれくらいなら自分でもできるハズ」と思っている感は強いので、該当する職業について正しい情報を呈示するのが正しい指南方法。まぁ、専業云々の部分は超有名な人は概してそんな感じなのは否定できない。よほど出来た人でないと、ね。あるいは色々と恵まれている人とか。奇才、鬼才ってのは得てして他人と違うところから生まれるものであるわけだし。


恐らくはクリエイターの類を「自分で好き勝手に出来てご飯が食べられて皆から評価される」存在と思ったが上で主張をして、それに対面したのではないかな、という気がする。それが出来るのは、その結果の生成物が皆に評価されるという、稀有な才能か運を持った人だけ。そうでなければ単なる自己満足の世界で終わってしまう。まぁ意見を述べる人がすべて正しいわけではないし、自我を持って主張するのも必要ではあるのだけど。

あとは失敗を極端に恐れる、傷つくのがとにかくイヤという香りも感じられる。


適正とは言い難いツッコミ、批評が(相対的に。機会そのもののハードルが下がったことで)増えたのも、傷つくのを恐れる、批評を極端に嫌う傾向の増加の一因ではあると思う。その結果、批評させてもらえないのならチェックのしようが無い。だったら最初から完成している作品を精査して、自前で評価した上で基準にかなったものを取り上げた方が、トラブルリスクは下がるし、手間もかからない。指摘されている通り、完成している作品をピックアップする事例が増えるのも当然の成り行きかもしれない。

結局のところ「育てられることを嫌う作家予備軍」「批評で生じるリスクを嫌う出版社」という流れの中に、昨今の創作界隈はあるんじゃないかな。その中には出版社側の育成スキルの低下も一因としてあるのだろうし、作家予備軍が自分の作品を不特定多数に披露できる場が増え、それを集約する環境も多数用意されるようになったというのもある。

例のアルファポリスとか「なろう」とか、それこそpixiv、そしてツイッターですらも、自分の創作力を披露する場にはなる。そして何らかの形で創作から対価をうけてご飯を食べるようになるためには、批評を適度に受け入れる必要がある。その力関係、方向性が大きく変化している気がする。

最初の話に戻るけれど、この時期に突然作家になりたい、クリエイターに成りたいと言い出したら、まず十中八九は「他にやりたいもの、やれそうなものがないので」的な逃げ。「だったらこれまで作った作品を見せて」と突っ込み返すのが無難。あるいはもっと前からそのような話を持ち出してきたら、それぞれのジャンルにあった作品公開の場を呈してみるのはどうかな。例えばイラストならpixivとか、ね。

......あ。そうか。最近では例のYouTuber周りで「誰でも気軽に大注目を集めてお金がっぽり」的な話が出ちゃったんで、この類の「すぐにうほうほクリエイター」的な動きが活発化しているのかもしれない。


あと、これね。現実は厳しいのよ。95%ってのがどこから出てきたのかは首を傾げるけれど、印象的にはあながち間違っていない。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年2月20日 07:35に書いた記事です。

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