「20代の6割は戦争体験談を聞いたことが無い」の違和感

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【戦争体験談:20代の6割「聞いたことない」】

戦争体験のない人でも2人に1人が体験談を聞いていることが、毎日新聞社と埼玉大学社会調査研究センターが行った時事問題世論調査「日本の世論2014」で分かった。20代は6割が体験談を聞いたことがなかった。日本の人口の8割は戦後生まれになり、来年は戦後70年。戦争体験の継承の仕方を考える時期にきている。

歴史を都合の良いようによじ曲げたり、意図的に改ざんした上で公布して、その間違いを指摘されると「圧力には屈しない」「捏造などしていない」と開き直るような話は言語道断だけど(どこかで聞いたような話ではある)、その歴史事実の伝承・記録と、その内容を現在にもそのまま適用するように浸透させることとは別なんだよな、ということを思わせるお話。戦闘体験談を見聞きしたことが無い20代の人が6割に達し、それは危機的状況だと懸念する記事に、そもそも論として「70年も昔の戦争の話なんか聞いて意味があるのか?」という話。

歴史的事実としての認識との観点で知ることは大切であるし、意味はあるのだけれど、それを現在にも通用するものだから、常識としての継承が欠かせないというのが新聞側の記事の意図ならば、それはどうなんだろう、違うんじゃないかな、というのは多かれ少なかれ誰もが抱いているはず。「昔は洗濯機など無く、洗濯板で洗濯をしていたんだよ」という歴史的事実を知っておくのは正しい話だけれど「だから今も洗濯板で洗濯をしなきゃいけない」ってのは道理が通らない。


これは以前こちらやヤフー個人ニュースで「徴兵制」周りのプロパガンダの解説をした時に反論としていくつか寄せられた「意見」に目を通して感じたことでもあるのだけど、「昔あったから今後ないとは限らない」という、歴史は繰り返す的な論調を絶対命題として、それ以外の要素をまったく無視した上で結論を導いてるんだよね。本当に戦争の問題点、現状を知るのなら、今の戦争について語らなきゃならない。1920年代の世界大恐慌の様相を歴史的事実として学ぶのは必要だけれど、その当時の株式市場の動向をそのまま現在の市場動向に当てはめて云々ってのは、どうも勝手が違うよね、的な。

ただ気を付けなきゃいけないのは、これも以前指摘したけれど、「現場の空気」ってのはあまりにも強いので、注意をしておかないとその空気に包みこまれ、「意識の高い人」になってしまいかねないってこと。よくある話なんだよね。


日本ではどうも「戦争」と他人から呼ばれそうなもの全体においてタブー視されていた感が強く、戦争論そのものの研究や検証、論議が極力少ないため、今回指摘された件も含め、方向性に問題があるお話が色々と出てしまって、リソースが浪費されている感が否めない。オスプレイ騒動も良い例じゃないかな。避けなきゃいけないものだから目をつむるのではなく、避けなきゃいけないものだから、より確実に避けるために研究を行う。「孫子の兵法」的なお話だな。

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このページは、不破雷蔵が2014年12月26日 07:15に書いた記事です。

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