朝日新聞にとって政権批判は「核心的利益」ではないのか...「吉田調書」に絡んだ朝日新聞の動向...マスター資料と手元の資料と

| コメント(0)


震災に連動する形で発生した福島第一原発の事故に関連し、政府の事故調査委員会が行ったヒアリング記録。当初非公開の予定だったものが、5月19日に当時の第一原発所長・吉田氏への調書に関して朝日新聞による「全文の独自入手」とするスクープ記事、そして他社も8月下旬以降に相次ぎ入手・内容の記事展開がなされるに及び、情報の混乱を避けるため、やむなく&遺族の了解を得た形で、9月11日付でほぼ全文(個人名などのプライバシー部分は削除してある)が公開されることとなった。

結局朝日新聞が5月までに入手してスクープ記事を書きあげる材料となった「吉田調書(A)」は、今回発表されたマスター版「吉田調書(M)」(=他新聞社入手の調書だろうか。この辺りは他社も手持ちの全文を公開していないので検証のしようがないが、その調書を基に書かれた記事内容を見比べるに、ほぼ同じものと判断して良さそうではある)と同じだったのだろうか。Mの発表前に朝日新聞がAの公開をしなかったので、検証は永遠に不可能となったのだが。

もしA≠MでAの内容が5月から8月までのスクープ記事の通りなら、朝日新聞は誤ソースに踊らされたとしてその点で謝罪しなければならない。これは単純な「誤報」の範ちゅう。一方でA=Mだとすれば、調書の内容を捏造して「スクープ」として挙げたことになる。しかも単発では無くキャンペーンを展開していることから、記者単独による判断とは考えられない。

これは【俺達しか持っていないはずの「吉田調書」を別新聞社が持っていた!? どうする?? 的な話かも】などで指摘の通り、「一次ソースは自分達だけしか持っていない。調書に実際には書かれていない事を記事にしても、誰も反論・検証は出来まい」との思惑のモノとして考えるのが妥当となる。この場合は単なる「誤報」ではなく、「誤報」の中でも問題レベルが高い「捏造による誤報」になる。

後者だった場合、報道機関としての責任は極めて重大に他ならない。なぜなら仮に思惑通り他社が「吉田調書」を入手できず、また政府が「吉田調書(M)」を公開しなかった場合、「捏造」がさらに蓄積され、それがさも事実であるかのように世の中に喧伝されていくことになるからだ。まさに朝日新聞が抱えるもう一つの「吉田問題」こと「吉田証言」と構造は似通っている。

しかもキャンペーン報道が展開され繰り返し記事が掲載されている通り、新聞部局の上層部にまで「事実(吉田調書に書かれている内容)と異なる内容の記事掲載」が認識されているにも関わらず、誰もストップしなかった・できなかった、報道機関としての新聞社における根幹の構造レベルの問題となる。

これが例えば「首相の食べたカツカレーは実はチキンカツだった」「テレビの販売価格はこの数年で半額にまで落ちていた」「●×の名物のおまんじゅうのルーツは、実は数百年前にさかのぼる、ある事件がきっかけだった」のような、他愛もないような話や地域のほのぼの話ならまだしも。国内外に大きく報じられ、各方面に多大なる影響を及ぼした、事件・事故に関するものとなれば、看過すべきものではない。

先の特許周りの「誤報」のように、「解釈の違い」「分かりやすくするための説明」という認識を示すかもしれない。実際先日の記者会見でも「取材が不十分で所長の発言への評価が誤っていたことが判明した」「『吉田調書』の評価を誤り、多くの所員がその場から逃げ出したような印象を与える間違った記事だと判断した」と、手元にある、全文を入手したとする「吉田調書(A)」の内容を読み間違ったかのような説明をしているが、その説明では道理を通る範ちゅうをはるかに超えたものであることは、他新聞社の検証・調書からの記事で明らかにされている。

今件に関して個人の考えとしてではあるが、朝日新聞の編集委員・政治担当の一人は次のような発言を成している。


無論「?」と首を傾げたくなる内容ではある。


読み方を変えれば今回の「吉田調書」問題は、朝日新聞社内における「政権批判」の手段として用いられ、その目的のために「捏造」と呼ばれても仕方がない記事の展開が相次いで行われた、その実態を暴露しているのと同じではないだろうか。


まさにこの指摘通りでしかない。

あるいは朝日新聞にとり、今回の「吉田調書」記事の実情暴露で露呈した件も含め、「政権批判」はまさに「核心的利益」である......と指摘されても否定が出来ない状況なのかもしれない。

もし心底から再生を望むのであれば、「吉田調書の罠」(別名「『プロメテウスの罠』の罠」)の本格的連載を望みたいところだ。他新聞社が始める前に。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年9月12日 06:09に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「脳波で動くデバイスが出来たら動物と対戦ができる!?」です。

次の記事は「ハロウィン商品入荷数減少のお知らせ。その理由は......」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30