サビまでの時間の短縮傾向

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例えば同人誌なんかだとサンプルとして提供されている数ページ分が、実は全体のクライマックスというか一番の見せ場であって、実際に本誌を買ってみたらサンプル以外はすべてオマケみたいだったという話はよくある。R18系動画とかゲームのサンプルソフトも然り。

サンプルでないにしても、初めの部分で相手をつかまないと、さくりと逃げてしまうという話はよくある。先日も某漫画でお茶のレシピがタイトルに上がっていたけど、3話まで見た時点でお茶の話がほとんど出てこなかったので止めたというのを見て、ああそういうことかと実感したり(実のところはもう少し先でお茶の話が本格的に出てくるし、ストーリーの基幹にもなっている)。

元々「つかみはOK」という有名なフレーズもあるし、最初の部分で引き留めができないと他のところへ流れてしまうという傾向は昔からある。例えば初代のガンダムで、数話をかけて主人公のアムロの生い立ちや周囲の生活環境を説明し、ガンダムやザクが出てくるのは5話ぐらいからだったら、どれだけの人が食いついていただろうか。

ただ必要な時間が短くなっているなというのには同意(元々この類のは経年調査されているはずもないので実数は確認できないけど)。コンテンツそのものの量が増え、しかもその利用時間が短くなっているため、言葉は悪いけど短気になっているという感じ。遊園地で待ち時間が長いアトラクションで待てるかどうか、他にもたくさんの面白いのがあれば、並ぶのは諦めて他のところに行ってしまうだろう。そのアトラクションがどうしても遊びたい対象でない限りは。

これって結局のところ、ネット上の記事の展開における方法論と何ら変わらない。ネット上の場合はさらに量が多いのと容易に代替しうるものばかりなので、タイトルの時点で読む・読まないが選択されてしまう。「つかみはOK」をタイトルでやらなきゃならなくなる。ラノベやなろう系の小説とかそのコミカライズ版も同様だろう。


ゲームもまた然り。つかみがよければ雑誌などでの高評価を受けやすくなるので、売れる可能性も高くなる。また、全部気合を入れるよりはローコストで済むので、費用対効果が高くなるから、ゲーム制作サイドは優秀と言う判断が下される。

でもねぇ。料理はお通しとか前菜がすべてではないのも事実なんだよね。つまみ食い程度のことを繰り返して満足するのならそれでいいのだけど、そうでないものは、しっかりと全体像としての完成品が欲しいのだよね。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2020年9月20日 08:00に書いた記事です。

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