「電子書籍はスタンドがつぶれた、事業を投げた時が怖い」の実情

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紙媒体の実本と比べ電子書籍は収納体積をほとんど必要とせず、整理整頓も楽て、持ち運びも簡単、検索も容易というメリットがある。一方で電子書籍は蓄積するに連れて紙媒体の本以上に埋もれてしまう(iTunesの音楽データが良い例)のに加え、現状ではその大部分が書籍データの提供では無く配信側のデータを閲覧する権利の購入に過ぎないので、配信元がコケたり投げたりしたら、手元の権利が吹き飛んだり棄損したりしてしまう問題点がある。

「他の配信元がデータを引き継ぐから心配はいらない」とはよく言われるけど、引継ぎ先が手持ちの閲覧権のデータを持っていなかった場合は払い戻しになってしまうし(処方薬でよくあるパターン。別病院で使っていた薬が新しい病院では処方対象になってなかったとか)、閲覧権が引き継がれてもインターフェイスが好みので無かったり悪辣なものだったりすると、実質的に価値が損なわれてしまうことになる。

このへんの問題って要するに、自分の責で無いところで手元の書籍の価値が損なわれてしまうことがイヤなんだってことなんだよね。紙媒体の本なら、どこかへ無くしてしまったり、しみがついてしまったりするってのはあるけど、その多分は自分自身の責任であり、自分で対応しておけばリスクは減らせる。

けれど電子書籍における今回のような状況の場合って、自分がどれほど頑張ってもどうしようも無かったりする。自分のあずかり知らぬところで手元の財産の価値が削られてしまう。紙媒体の本だったら、ある日突然しみてしまったり、文庫本版にミニサイズ化してしまったり、表現が差し替えられてしまってたり、勝手に並びをばらばらにされてしまうようなもの。

こんな話が相次ぐと、やはり電子書籍だけに頼り切るのは難しいかなあ、という気がするのだよね。今件のような場合、ならば移行先のサービスの操作性改善を要求すればいいじゃないかという話もあるだろうけど、その要求が通るのならすでに履行されていて当然の話ではあるのだし。

要は現状の電子書籍が「閲覧権の購入」にあるところが根本的な問題なんだろうなあ、という気はする。...ああ、なんだか年金問題と似ている感はあるぞ。今の年金って結局、保険料の支払いは、将来年金を受給できる権利の確保だからねえ。

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このページは、不破雷蔵が2019年3月 5日 07:27に書いた記事です。

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