「国の借金」警察参上

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財務省は8日、国債と借入金などを合計した「国の借金」が、2018年12月末現在で1100兆5266億円と過去最高を更新したと発表した。8月1日時点の人口(1億2435万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約885万円で、昨年9月末の前回発表時から7万円増加した。

「国の借金」では日本国全体、国家組織や所属企業、民間人全てに至るまでとの誤解が生じます。今件は日本国政府による借入金(資料名は「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」)。「国の借金」や「国民一人当たりの借金」の表現は不適格です。国債の約9割は日本国内で購入され、それは同時に日本国民には債権にもなります。さらに日本国債は円建て。


最近では日銀の国債購入割合が増え「意味が無い」との指摘もありますが、日銀が得た利益(国債の利息)のうち経費や税金を支払った後の剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として国庫に納付されます。さらに政府は日銀の株式を55%保有し、相応の配当も受け取れます。

「国の借金」などのフレーズで注目を集める手法は報道記事としては不適切です。ちなみに日本の対外純資産(対外資産と対外負債の合算)は2.909兆ドルで世界第一位です(IMFより)。


色々調べてみたらこの1年強ぐらいの間、主要新聞社や通信社の間では目立った形で使われていなかったはず(少なくとも解説権限のある記事では見つからなかった)「国の借金」という表現。先日久々に通信社による記事で用いられ、しかもトピックスに掲載されていたのが目に留まったので確認したら、典型的な「国の借金」警察出動案件だったのでフルツッコミ......としたいところだけど、文字数制限があるのでなんだか雑な内容となってしまった。

この類の記事、得てして一次資料には国の借金とか国民一人当たりってフレーズは使っていないので、報道側が勝手に「分かりやすく」するために使ってるんだよね。昔からのテンプレみたいなものだから、半ば機械的にやってるんだろうけど、昔はともかく今ではそういう「分かりやすいけど正しくない」ってのはツッコミが入るよってのがいまだに理解できていないらしい。というよりはむしろ、間違ってるとか正しいとかいう判断ができないのか、もしかすると正しいと断じているのかもしれない。

まあ、借金云々いうのなら新聞社の財務諸表で同じことやってみようか? 社員割りとかもしてみようか? みたいな。


こちらとしては本当はこの類の図解も合わせて解説したいところではあるんだけど。制限があるのでそれも無理。一つ記事にしてしまうってのも考えたけど、債券派アナリストな先生に目をつけられると対応が面倒くさいからなあ、というのが本音だったりする。

まぁ、通信社なり新聞社のこの類の記事が出てきたら、逐次ツッコミを入れるってのが自分なりの手立てというところかな。

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このページは、不破雷蔵が2019年2月 9日 06:55に書いた記事です。

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