事故とメディアスクラムと

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メディアスクラムってのは直接的な意味は、物理的に対象者の周りを報道が取り囲みマイク責めにしてプレッシャーをかけることを意味するのだけど、根掘り葉掘り連続して絶え間なく問い続ける、圧力をかけ続けるのも広義の意味としては該当する。そのメディアスクラムが平気で、正当性があるかのように成されているのだなあ、というのが今回の事件に関する率直な感想。

思惑としては悲惨さをより強調できるようにし、読み手、視聴者の注目を集め、さらに社会体制への批判の雰囲気を盛り上げたいとの意図もあるのだろう。それを表明することは無くとも、色々な切り口から情報を肉付けして繰り返し伝えることで、より一層深く印象付けさせたいとの思惑もあるに違いない。これこそが、常日頃から指摘している「報道の非対称性」に他ならない。これが例えば報道ヘリによるものだったり、他国、例えば中国のヘリによるものならば、同じような伝えられ方はしているだろうか。報道ってのは反復性が一つの武器であり、それを知った上でのやり口ではある(統計取ってもいいんだけどね、手間がかかる割にはリターンが無いに等しいのだよ、この類のは)。

この類の事故や事件報道でつくづく思うのだけど、当事者や関係者への「今のお気持ちは」「どう考えていますか」「怖いですか」の類は果たして「報道」なのかな、と。恐らくメディア側は「事件を受け手の心に深く刻ませるために」と実名報道同様の説明をするのだろう。でもそれはそれはメディア側の都合でしかなく。このような話をすると「被害を受けた人たちの気持ちを考えたことがあるのか」という批判もあるだろう。しかしその言葉はそのまま発した側に返ってくる。「被害を受けた人たちの気持ちを考えてメディアスクラムをしているのか、不特定多数に発信をしているのか、何度も何度も繰り返し問いかけ、答えさせているのか」。

屋台の店員が道行く人の前に立ちはだかり、無理やり口に商品を押し込んで「食え」と言う。デパ地下で試食品担当者がお客の手を引っ張り口に試食品を押し込んで「食え、旨いだろ、買え」と強要するのと、どれほどの違いがあるのか。

そもそも「報道」って何だろう。今、それに携わっている者たちにどれほどの資格、権限があるのだろう。

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このページは、不破雷蔵が2018年2月 9日 07:50に書いた記事です。

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