「政府が3%の賃上げを要請、ただし年収は増えない可能性も」の中身

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政府は来年の春闘において、3%の賃上げを実現するよう経済界に強く求めています。企業側もある程度、応じる姿勢を見せていますが、賃上げが実現しても実際には年収は増えないとの声も聞こえてきます。給料が上がっても、年収が増えないというのはどういうことなのでしょうか。

「ええっ、どうして賃上げが生じても年収が増えないのはどうしてなんだい?」とマスオさんの声で脳内リフレインされるタイトルではあるのだけど、実のところ答えは簡単で、過度の残業に罰則を設ける規制を施行するので、その過度残業分の残業手当が減るからというもの。「大和総研の試算」とかいうそれっぽい話で確からしさを上乗せしているのだけど、どうも論理的な破たんがあちこちで。

「大和総研の試算によると、この上限規制が導入された場合、日本全体で8兆5000億円の賃金が抑制されるとのことです。これは日本の労働者が受け取る賃金全体の約3.2%に相当します」現状ではサービス残業が問題なのだよね。過度の残業なら時間給換算でも上乗せの法的規制があるし、その上で残業させ続けると企業には余計な負担となる。当然残業させれば効率も下がるので、時間当たりのコスパはますます落ちる。と、なれば企業側としては残業をさせないか、残業代を払わずに残業させる(サービス残業)かどちらかを選ぶ次第。で、現状はむしろ後者がまかり通っているのが問題なわけで。

それに残業が減って、手取りそのままなら有り難い話に違いないのだけどね。

記事中にある「大和総研の試算」は今年の8月に発表された第194回日本経済予測  www.dir.co.jp/research/report/japan/outlook/quartery/20170817_012222.html で確認が可能です。それによると「削減された残業時間が他の労働者や新規労働者へ分配されなかった場合、年間8.5兆円の所定外給与が下押しされる」「削減される残業時間を新たな労働者で補う場合、240万人のフルタイム労働者が必要とされる」とあります。


本来過度である残業の上限強化に伴う動きですから、過度な残業が減る訳で、その上で給与が変わらないのならば、むしろ有り難い話でしょう。また、企業側は効率化や雇用の拡大が必要となり、その観点でも労働市場の活性化や既存就業者の条件改善も期待できます(新規雇用の条件を上げる場合、既存就業者の条件も連動して上げねば離反を招くからです)。


手取りが減る云々ってのは、この過度残業撤廃がすべて成された場合、さらにその分の8.5兆円がどこにも生じない場合。でもこれっておかしいよね、と気がつかないといけない。

サービス残業は原則違法。となれば、過度残業の撤廃で不足するリソースは新規雇用で賄う必要がある。と、なると新規雇用の条件を上げないと人が集まらなくなるけど、新人だけ上げて既存の就業者のを上げないわけにはいかないから、さらに雇用条件は良くなるのが期待できる。

まぁ、色々な思惑はあるのだろうけど、こういった中途半端な「解説」ってのが最近増えてきたよなあ、と。先日の【「2020年の給与明細」という話】もそうなんだけどさ。

            

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このページは、不破雷蔵が2017年12月12日 07:02に書いた記事です。

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