「消費税を上げやすい状態になった」との話にフルツッコミと、いっそのこと消費税を廃止しようとの話

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麻生副総理兼財務相は19日、ニューヨーク市内で講演し、2019年10月に予定される消費税率の10%への引き上げについて、「上げやすい景気状況になりつつあることは確かだ」と語った。

記事が掲載されていたのは木曜日の話で、さらに語られた場所を考慮するとリップサービスの可能性も無きにしも非ずなんだけど、同記事のコメントでFPの人が「消費税引き上げ賛成、資産所有の高齢者からも公平に徴取するのには一番」的なことを解説していたので、違うよ、全然違うよ的なツッコミも合わせ。

消費税は8%という高率になった時点で「薄く広く」の大義名分は無くなっているし、10%に上げる際の軽減税率の導入で「個別課税の面倒くささを無くすため」の利点も無くなるんだよね。加え、多様な異論もあるけど、押しなべて課税の仕組みは結局富裕層の方が負担は軽くなる。なので、消費税は廃止して、物品税などの復活をした方が、税制度の公平感はより充足される。

消費税を廃止して物品税を導入すると、例えば自動車のような対象品目の高額商品が売れなくなるとの話もあるのだけど。逆に消費税が導入され物品税が廃止されて以降、自動車の売上が伸びた、普及台数の上昇率が増加したとの記録はないのだよね。


浪費は悪しき行動だけど、消費は美徳。消費には単純に物品やサービスを利用するという行為そのものだけでなく、それを成すために生産行動をしたり、対価を支払うことで経済活動が連動してくる。消費は経済の血流でもあるのだな。それを抑える、罰則として認識されてしまうような税を、日常生活の中で日々体感されたら、そりゃプレッシャーはかかるわな。なまくらバットで年がら年中ぽかぽかと叩かれ続けているとか、ピンポンダッシュを毎日受けているようなものだから。


こんな話もあるけど。高額商品は単発買い。生活必需品は常に買う。税負担への心理的影響は大きく異なる。また非日常品で欲しいものは高くても買う。さらに高額商品を日常的に買う人は別に高めでも痛手は無い対象であり、懸念はない。

消費税を(特に高齢層の)資産持ちとの格差是正との話もあるけれど、消費税でも資産として存在しているモノには課税できない事に変わりは無いのだよね。資産を取り崩させるために日々の消費で負担を重くしようとの思惑なら、その負担で資産が(少)ない人の方が先に息絶えてしまう。

「広く薄く」との仮定が例え正しいとしても、余力がある人にとっては薄く取っても影響はほぼないけれど、余力がない人への同じ量は大きな影響が生じてしまう。資産総額10億円の人が500万円の損切をしてもあまり痛手は感じませんが、1000万円の人なら悶絶してしまうだろう。

消費税が資産持ち、特に有資産高齢者に資産を吐き出させる有効な手段ってのは、詭弁な気がしてならない。一番良い手は大規模な財政出動の結果として生み出されるインフレ化。先日の記事【「給料が2倍になっても物価も2倍になったら意味がない」ということは無い】にある通り、資金貯蓄は価値が減るので投資や消費に回る。そして「消費は悪」というイメージもあるけど、「消費」はすなわち相手への対価支払い。RPGのように、NPCにお金を払って、その金はどこかへ消えてしまうってのとはわけが違う。お金は手段であって目的ではないのだよね。

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このページは、不破雷蔵が2017年4月23日 07:54に書いた記事です。

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