出版物の予約とそのタイミングと

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情報の多様化、広域化、分散化、そしてネット化に伴い、さらには旧態依然の体質の維持・時代の流れにそった変革への遅れなどを受け、出版業界のそろばん勘定はかなり難しい状態となっている。これまでの常識が通用し難い、ガイドラインが随分とハードなものとなる、二極化が進む、などなど、色々な変化が起きている事に違い無い。

で、その変化の中の一つとして挙げられるのが、連載漫画の単行本化のハードルが上がっていること。漫画の種類数は増えるし、時間を割く対象はけた違いに増えている。漫画単行本に限れば総数はさほど変化はないはずなんだけど、もりもり売れているのと売れないのとで二極化している感は強く、そもそも単行本刊行というステージに上がるための判断が厳しいものとなっている。出版社もリスクを取り難くなっているので、安パイばかりを選ぶ傾向が強い、裏付けが取れたものから単行本化するようになるのは、自らの命をつなぐための当然の選択でもある。

でも書き手からすると、つらいのよね。超一流の腕前とか目玉な有望株、運がとても強いケース以外はすくい上げてもらえにくくなる。これも二極化が進む一因ではあるのだけど。

リアクションが少なければ出版社も動きにくい。このような現状においては、書き手もこれまでとはちがって積極姿勢を見せなければならないってのは十分に分かる。ただ、電子系の行動が反映されないってのは、読者から見ると「それは出版社側の都合でしかない」「電子系からも金をとるのに反映は無いって理不尽」との気持ちが高ぶるのだけど。

「情報解禁になったらすぐに宣伝して」「2週間前までに予約して」との本屋さん側の訴えも理解はできる。ただ、昨今の動向を見るに、実発売日の2週間前までに具体的な単行本名や価格、発売日が開示されるのって、どれほどあるのだろう。出版社側の事情もあるのだけど、その2週間ぐらい前にならないと、具体的に発売日が確定しない事って、結構あるような気がする。早いものになると、数か月前から発売日込みで発表されることもあるけどね。

その辺りは逐次更新の形で、新着情報などを別途伝える形で、発売日に関するお話を出版社側が積極的に情報開示をしてくれるとありがたいなあ、という気はする。アマゾンなどの登録データを元にした便利系サイトは結構あるのだけどねえ......。あとは、プッシュ型の情報提供とかも。

他方、今後は、雑誌やウェブ上の連載作品において、単行本化するや否やに関して、出版社側のガイドラインに到達しなかった場合、その時点で筆者が自主的に電子出版などで出版することができるような契約体系も出てくるのかな......という感はある。これまでも「単行本が伸びなかったので連載打ち切り」「権利引き上げで自費出版」というケースは結構あったけど、間が随分と空いてしまって読者のモチベが下がるってのが少なくない。

電子出版のハードルはまだまだ高いけど、それでも不可能じゃない。そして販路に関しては紙媒体での自費出版と比べればはるかに楽。やり方次第では、救われる作品も多いのではないかなあ、と思ったりしている。

......あるいは、例えばアルファポリスのようなデジタル系ウェブ出版社が、その類の「他社で連載を止められた作品」に手を差し伸べてさくさくとウェブ掲載化し、塩梅が良ければ紙での単行本化ってスタイルも出てくるのかな。

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このページは、不破雷蔵が2016年12月18日 07:16に書いた記事です。

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