レシピを通して距離を、時代をこえる試み

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大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)と大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国文学研究資料館(国文研、館長:今西 祐一郎、東京都立川市)は11月24日より、江戸時代の料理本に書かれた調理手順をデジタル化し、現代の人々でも使える形式に整備した「江戸料理レシピデータセット」の公開を始めました。また、現代語訳、および、現代の「レシピ」形式に編集したデータを、同日から料理レシピ投稿・検索サービスの「クックパッド」でも公開します。

先行記事で「3Dプリンタがあればデータの受け渡しで、体現化したものを自在にやり取りできる」といった話をした。インターネットの普及に伴い、情報は距離を超えることが可能となった。この発想に基づけば、過去の情報をすくいだしてデジタル化できれば、時すら超えることも可能となる。

で、まさにそのような発想なのが、今件の「昔の料理方法の教本」の翻訳化とレシピ化。詳しくはリリースに書いてあるけど、江戸時代の料理教本のうち卵料理部分について、崩し文字を普通の文字化して現代語訳し、さらにその内容を現代風にアレンジしてレシピと化している。

現代語訳しただけでオシマイってわけではないのは、当時は電気製品などあるはずもないし、分量的に無茶があったり明記がされていなかったり、調理方法が違っていたため、そのままで現在に料理を再現しようとすると無理が生じるため。料理の専門家に見てもらい、今風のレシピとしてアレンジした次第。

現代レシピ風にまで書き直したのは、全作品107点中5点のみってのが少々残念ではあるのだけど、面白い話には違いない。味はどうなんだろうなあ、という興味関心が湧いてくる。まぁ、料理の専門家が監修したのだから、食べられないようなものでは無いのだろうけど。当時の味覚の標準を知る意味では良い資料になるだろう。

レシピはいわば料理の設計図。設計図があればだれでも同じものが作れる......わけではないのだけど、距離や時代を超えてモノを体現化できるってのは、やはり素晴らしいお話に違いない。まだ現代レシピ化していないものとかはもちろん、他の時代の料理資料も似たような試みをしてほしいなあ。

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このページは、不破雷蔵が2016年11月27日 07:32に書いた記事です。

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