慣行的なタダ働き「スペックワーク」におさらばを

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カナダの広告代理店 Zulu Alpha Kilo は、そんな業界のスペックワークについてNOを掲げ、5年前から提案依頼書の8割を断るという英断を行いました。当初は社員・クライアント含め、非常に混乱したそうですが、その結果、この5年間一度もスペックワークを行わず成長を遂げてきたのです。

先日ちょっと触れた、サービス残業はタダ働きと同じだから止める・止めさせるべきだという、ふと立ち止まって考えれば当然だよね、的なものと近しいお話。

スペックワークとは広告や情報産業などの第三次産業では結構よくある話で、簡単にまとめると「試しに作ってみてよ、よければ買うし、よいお客さんになってあげるかもしれないから。でも気に入らなかったらお金は払わないよ」的なアプローチのこと。レストランを訪れ「ただで実食させろ。美味かったら料金払う。そして今後も足を運ぶかもしれない。でも美味くなかったらタダね」的なものという例を挙げればわかりやすいだろうか。


スペックワークを提唱している側は、巧みにビジネスのルールを自分の都合のよいように軌道修正して、それをビジネスをしている側が「違うよ」と突っ込みを入れてはねのけている。

「飲食店店員:世界中どこでも通じるルールを教えてやる。まずお金を払って、それから食べるんだ」も、単独で見れば当たり前の話でしかないのだけどね。ミシュランの人がこっそりと普通の客に交じって、普通に対価を支払って精査する。これは当たり前。「俺様は雑誌関係者の人だ。ただ飯食わせろ。美味かったら雑誌に載せてやるかも」とドヤ顔で店主に注文したら、塩をまかれるのがオチではある。

これ、原文では指摘されていないけど、スペックワークに関しては、さらに悪用する界隈がいる。要はタダで試食ってことなんだけど、それをあちこちで繰り返して、コストを下げるケースが無いとはいえないのだな。一回一回別の場所でならまだしも、同じ場所で何回も。そしてそのうちの数回はそれなりに仕事として対価を支払うけど、逆にそれを担保にする形で「今回も先の仕事のように契約して対価を支払うかもしれないので、まずはスペックワークで」と投げかけ、結局止めた、的な感じに。10本分の仕事をしても、得られる対価は3本分ぐらいなんてことになる。

業界の慣行だから、うちではそうなっているからと、タダ働きを強要する界隈は、単なる無知か、それとも依頼先の仕事の内容を軽んじている可能性が高い。そのような相手と仕事をしても、何も良いことは無い。動画の人たち同様、拒絶するのが一番なのだろう。

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このページは、不破雷蔵が2016年9月27日 06:59に書いた記事です。

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