ミスドの売上が落ちたから日本のドーナツ市場は縮小したとの解説

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個別の要因はいろいろありますが、基本的にドーナツ市場全体が縮小しているとみてよいでしょう。この傾向はミスドの過去の売上高の推移を見るとよく分かります。同社は全国で約1270店舗を展開しており、ドーナツ市場ではほぼ寡占状態です。同社の売上高はそのままドーナツ市場と考えることができます。

コンビニ大手のドーナツ市場への大参戦で、ドーナツ専門店が苦戦しているってのは何度となく伝えられている話。ドーナツは元々相応に市場が形成されていて、目に留める機会が増えたことで認知度は高まり、全体としての市場は大きくなったはずだけど、そもそもほぼゼロから背伸びをはじめたコンビニが随分と客層を吸い取ったので、専門店が苦戦をするのは当然の話。専門店のドーナツじゃないとダメって人も相当いるけれど、コンビニの方が気軽に買えるし、コンビニのもので十分満足って人も多分にいる。要はちょいとパイの大きさは大きくなったけれど、新しく入ってきた人(コンビニ)が、大きくなった分以上にパイを奪っていったので、元から居る人の食べる分が小さくなったという話。

ところが今件記事では、コンビニが展開した後もミスドの売上がほぼドーナツ市場との設定を維持し、そのミスドが売り上げを減退しているので、日本のドーナツ市場は縮小状態にある。その理由は労働者の賃金低下とか少子化が影響しているとの話。

ああ、これは無茶苦茶だ。

実質的にはコンビニのカウンタードーナツとドーナツ専門店の売上を足した総額は、ミスドの寡占状態と比べると遥かに増加している。ミスド寡占状態時は1100億円強、現在はミスドが900億円強で、セブンとローソンを合わせて500億円強。ファミマが仮に100億円位だったとしても、合わせて1500億円。縮小しているとはとてもいえない。コンビニで売っているドーナツはドーナツじゃないというのは無理がありすぎる。

加え。少子化云々労働者の賃金低下云々とあるけれど、少子化の傾向は昔から継続的なもので、3年でこれほど劇的に進展したわけじゃない。労働者の賃金は逆に増えている(総賃金ね。平均賃金じゃなく。賃金をもらえる人が増えている。もっとも最近では平均賃金も上昇中)。さらにいえば問題なのは賃金では無く可処分所得で、それが減っているのは社会保障費の負担増によるもの。

ミスドが苦戦しているのは事実だけど、そこから無理矢理賃金がどうとか少子化がこうとか出てくるあたり、書き手が後半に入ってなんだか書くのが面倒臭くなったのか、それとも最初から後半部分を書きたくて前半を適当に書いたのか、そんな香りがある。いいのか、これ。

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このページは、不破雷蔵が2016年8月10日 06:42に書いた記事です。

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