金融緩和政策の障壁は年金生活者や高齢者かも、という話だが

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中曽副総裁はこの後行った記者会見で、マイナス金利の副作用は来週開かれる金融政策決定会合でマイナス金利を深掘りすることの障害になるか、という質問に対し、マイナス金利による「政策のプラス効果は現れていて、今後実体経済や物価面にも着実に波及していく」とした上で、「副作用を勘案しても、政策効果が大きい」と述べた。


中曽副総裁は講演で「住宅ローンがなく、金融資産の大半を預貯金として保有する年金生活者や高齢者の方にとっては、借入金利低下のメリットを受けない一方、利息収入の低下だけがデメリットとして意識されることになる」と指摘。「低金利はもう20年間も続いており、そうした方々には申し訳ないことだと思っている」と述べた。


先日ブルームバーグに掲載された日銀副総裁による金融政策周りの話。全貌は元記事を確認してもらうとして、マイナス金利政策とそれに伴う市場金利の低下について、年金生活者や高齢者にはネガティブな影響を及ぼすかもしれないとし、間接的にそれらの層が金融政策のハードルの一つとなっていると言及している。

この類の話は結構見聞きするもので、マイナス金利という言葉だけが踊って、「銀行に預けているお金がどんどん減っていくから政府の金融政策反対、マイナス金利政策滅びろ」なんていう意見も見受けられるし、報道界隈も多分に直接的ではないけどそんなニュアンスの説明を多々している。今の金融政策は間違いです、高齢者や年金生活者には良くない事ばかりですよ」的な。

でもそれって、よく考えるとおかしな話。

指摘の通り、ここ数年の金融政策以前にも、それこそ今世紀に入ってから一般の預貯金金利はほぼゼロで推移している。年利数%云々ってのは前世紀の感覚でしかないってのは【インフレになると手持ち資産が減るからイヤだと頑固な人へは「インフレになれば年利10%の時代がまたやってくるかもしれないよ」的な話をしよう】でも触れた通り。一般市場の預貯金金利がマイナスで無い以上、マイナス金利政策前後において高齢者や年金生活者の利息収入はほとんどゼロに等しい。

60歳以上による二人以上世帯の平均貯蓄額は直近2015年で2130万円。その5倍にあたる1億円を預貯金で有していたとしても、年利0.1%では10万円にしかならない。さらに税金で半分持っていかれれば実質的に5万円。切り崩しはともかく、利子生活者となれば、この金利で暮らすのには相当の資産を所有していなければならず、それ位の資産がある人ならば利子云々など気にする必要はない。要は前世紀ならまだしも、今世紀に入ってからは、考慮をする必要はあまり無い。むしろ心理的な揺さぶりに使われている感は強い。

あるいは今件も、その「実害はほとんど無いにも関わらず、揺さぶりを受けて金融政策に支障が生じている」的な心境を訴えているのかもしれないなあ、と。見方を変えれば金融政策の最大の障壁は、そのような無理解の層なのかもしれない。まぁ、デフレを望み、インフレを嫌うってのは得てして資産家や高齢者だってのは、前々から言われていた話ではあるからね。

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このページは、不破雷蔵が2016年6月10日 07:55に書いた記事です。

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