イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票に関する分析・後日談

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先日伝えられた通り、イギリスがEUから離脱するか否かを国民に問う国民投票は、僅差で離脱派が勝利。法的拘束力はないので、今後はこの投票結果を受けて議会内で色々と論議を交わしたり、EUの他の国やら委員会との折衝が成されることになる。EU側では「ドミノになるから抜けるならさっさとしろ」的なツッコミまで入って、いいのかそれは的な感想も覚えるのだけど。

で、その投票結果に関して一部界隈から「移民が悪い」的な一刀両断的「分かりやすい」話が出ており、あちこちで賛美されていたのだけど、発信元が色々と思い当たる所があったし、具体的な裏付けに欠けるところもあり、一概には言えないよなあということで個人的には留保。複数の要因が主材料として存在し、その複数の要素の方向性がベクトルとなって、その合力として結果が離脱派僅差勝ちとして出ただけではないかなあ、と。カレーの味わいはカレー粉だけで決まるわけではないよ、的なところ。

その点で、このBBCの解説は比較的理解しやすい内容となっている。一つだけが理由では無く、複数の要因があり、その複合作用として結果が出た、と。もちろん一つだけの理由を敢えてあげるとすれば「離脱を望む人が多かった」ってことになるけれど、それは何の意味も無い訳で(汗)。


移民周りの話同様、これも良く指摘されている。低学歴の階層で離脱派が多いので、判断力が無いからノリや現状打破の意味で離脱を選んだのではとする意見もあるけれど、それでは「離脱は間違い、残留が正解」となってしまう。どちらにもプラスマイナスがあり、そのうちプラスが多いと判断した方を選ぶまでの話。そしてあくまでも相関関係であり、因果関係ではないからね。また、概して低学歴ほど低年収となる傾向・連動性があるので、むしろ収入方面での関係が連動している可能性もある。


他方、移民問題...というかそれと相互作用のある経済・就業問題、世代間の対立も、要素としては確かであったりする。シリア問題以降は頻度と声のボリュームを上げる形で欧州委員会なども「移民が増えるとヨーロッパ全体の経済が豊かになるよ」とアピールしているけれど、それを信じている人がどれだけいるのか。

また、「反知性」という言葉には違和感を覚えるけれど、以前は声を挙げて意見を共有する立場になかった属性の人達が、気軽に意見を述べて意思の共有ができるようになったのも、影響としては大きいのではないかなという気はする。要はジャスミン革命と似た部分もあるというもの。まあ、ジャスミン革命の結果がどのような形で落ち着いているのかを思い返せば、あまり良い気分にはなれないのだけど。

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このページは、不破雷蔵が2016年6月26日 07:38に書いた記事です。

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