「警察行動はかぜ薬」という考え方

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「予防は本来カゼ薬の仕事じゃないんだよ」

「たしかに警察は犯罪に対してある程度の抑止力を持っちゃいるが、事件を未然に防止するためと称してまだ何もしてない人を見張るわけにゃいかない」
「警察力がそれを始めでもしたら健康体にカゼ薬をブチ込むようなもんだ。社会(からだ)のためにいいことじゃない」
「しかし現実に事件は起きる。そうなりゃ出番だ」
「熱が出たら解熱剤を、せきにはせき止めを投与するように、おれたちも症状に合わせて投入される」
「与えられた仕事をたんたんとこなしているうちになんとか社会(からだ)が常態をとりもどす。それが警察のあるべき姿なのさ」
「わかるか泉? おれたちの仕事は本質的にはいつも手おくれなんだ。こいつは覚悟がいるぞ」


諸般事情で取り込み画像は掲載せず。リンク先からたどるか、「機動警察パトレイバー」の漫画原作を全巻揃えて読んでちょ。今件は後藤隊長の名ゼリフの一つで、警察の存在や行動がかぜ薬的なものであり、風邪っぽい状況、風邪を引きやすい場面から投入するのは好まれないという話。ワクチンなりマスクなりはまた別の立場にある人や行動で、警察とはまた別になる。

今件は例のアイドル刺傷(ツイートでは「刺殺」となってるけど、刺殺では無い)に絡んだ話で、この類の事案が生じると必ず起きる、警察は何をしていた、民事非介入はおかしいのでは云々とするものに対する、一つの答え。民事介入アリアリでもいいのだけど、そうなると悪用されるのは目に見えているし、権限が際限なく広がってしまうし、リソースも多分に必要となる。それこそまさにディストピアと何ら変わりはない。

警察周りの動向にあれこれと文句をつける、民事不介入に関して声高に語ることで、当人の溜飲は下がるのだろうし、ウケを狙えるかもしれないけどね。


今件に絡んではいつもの如く......というと語弊があるかもしれないけれど、昔は良かった、今はダメだ、オタクが、ゲーマーが、インターネットがという声が少なからず見受けられる。これも以前取り上げた少年犯罪周りの話と同じで、昔あったことが忘れられているか無視されているだけの話。昔も似たような事案は山ほどあったし、昔存在しなかったものを対象とするケースは起きるはずもない(飛行機が登場する以前は飛行機事故が起きなかったのと同じ)。確率論的な問題で、この類の加害者はどのような場面にでも、いかなる領域にでも存在しうる。

事案そのものは不幸な話には違いなく。加害者には厳正かつ厳粛な対処を願いたいし、被害者には心身共に療養されることを祈りたい。それと共に、感情論に走ることなく、実情を見据え、考えるべきものは色々と考察を成してほしいものではある。

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このページは、不破雷蔵が2016年5月24日 07:51に書いた記事です。

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