子供にとって学校と自宅は世界のすべて、先生や保護者は絶対神

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トリガーとなる万引きの履歴ミスとそれが原因らしい事案については、色々と逐次動きがあるようなのでそれはさておくとして。その話がきっかけで、子供時代における教師からの理不尽な指導なり強要などの体験話が語られている。どれだけ事実なのか、あるいは事実であったとしてもどこまでがそのまま本当の事なのか(記憶違いや他の事案との混ぜ合わせがなされている可能性もある)精査は難しいので「そういう話もあるのだろうな」的な部分に留めるとして。

以前言及したこともあるのだけど、ある程度物心がついて、自分と周囲の領域が認識できるようになった、自己を確立することが可能となる小学生、さらには中学生ぐらいまでは、学校と自宅が世界のほぼすべての領域となる。インターネットが浸透した今現在では情報を取得してその先の世界を知ることもできるけど、リアルとして足を運べる機会は滅多にない。例えるなら、周囲を山に囲まれて行き来がほぼ不可能な山奥の、人口が数十人ぐらいの山村にずっと住んでいる感じ。

そしてそこには神様のような存在がいる。自身にとっては先生や保護者がそれに該当する。絶対権限を持っていて、たとえそれが理不尽なこと、不可解なことでも、従わねば生きていけない、今後どうなるか分からない、無限の不安があるため、従わざるを得ない。生物の本能としてその神様の語ることはすべて事実であり間違いが無く、理不尽さを感じることなく信奉しなきゃならないってのがあるのだけど、ある程度自我を有してくると、その理不尽さから湧きあがる葛藤が生じてしまう。

そのような存在に自分を否定されるような、無実の罪に問われたらどうなるか。自分の将来を左右する偽証を刻まれそうになり、何度も何度も否定しても強要されたら、どれほどの絶望を覚えるか。


保護者から見れば広い世界の中での、長きに渡る自分の人生におけるほんの少しの時間を費やした一部の事案に過ぎないし、教師からは数十人の生徒のうちの一人に対する挙動でしかない。しかし生徒自身にとっては狭い世界の中における、神に存在を否定された信者のような立場におかれたのと同じ。存在を、今後の人生を否定されたのと同じ認識をしてしまうかもしれない。

子供にとって世界は大人が思っているよりもとてつもなく狭く、そして保護者や教師は絶対的な権限を持つ神に等しいものがある。だからこそ保護者や教師は、その立ち位置を再認識し、むやみやたらとその権限を振り回し、軽率に振る舞ってはいけないのだな。

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このページは、不破雷蔵が2016年3月10日 07:03に書いた記事です。

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