たばこ税が1本当たり3円積み増しされると......

| コメント(0)
自民、公明両党は11日、2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入する軽減税率について、大筋合意する。合意事項には、導入に伴う財源確保策として、たばこ増税が盛り込まれる見通し。増税額は1本当たり3円とする方向だ。

あくまでも関係各方面からの憶測、コメントのみでの話で文書化されたものの公的資料によるものではないので、「こんな話もある」以上の確証度は無いのだけど。昨日から軽減税率の財源周りでたばこ税の引き上げが話題に登っている。1本あたり3円とのこと。先日のWHOの勧告にもあるように、1箱1000円位(だっけ?)にまで引き上げるのも一興かなという感はあるのだけど、やはりそれはかなりの無理なお話で。そもそも税金周りは感情論で云々しちゃいけない。

軽減税率一つとっても、先日の記事にある通り国民に負担をかけた与党第二党の責任は極めて重いなあ、という件もあるけど、まず気になったのは先の「新聞を対象に含めるのか否か」と合わせ、たばこ税の増税話。以前からもちらほら話には登っていたけれど、2016年度分の引き上げは難しいよ、ということで落ち着いていただけに、突然具体的な内容として出てきてびっくり。

ともあれ、文字数制限の中で、ヤフーのニュースの方で補足説明的な感じで、フェルミ推定レベルになるけれど、こんな補助解説をしておいた。

仮に1本3円のたばこ増税が価格に反映されると、1箱20本あたり60円の値上げ。メビウスを例に挙げると、2010年10月のたばこ税引き上げに伴う引き上げ額110円(300円→410円)に次ぐ大きな値上げ幅となります。現行価格が430円ですので490円、あるいは500円になるかもしれません(全銘柄で平均して増税分を吸収するため)。


なお直近の年次たばこ販売実績は1793億本(2014年度)。単純試算で5379億円の増収が見込めます。ただし年々販売本数は減少し、また大きな値上げがあると減少幅は拡大するので、この年次分見積もりも今後減少するでしょう。

注意してほしいのは「財源確保」とありますが、2%の引き上げで増える予定の税収から減少する分を補う点です。「現時点の税収がさらに減るから」ではありません。直近実績から逆算すると1%の消費税率引き上げで2.2兆円の消費税分の増収が見込めます。


多分500円きっかりになるんだろうな、メビウスは。あえて490円にして、お値打ち感の演出を期待するかもしれないけど。500円台と400円台の違いってところ。

あと、説明にもあるけど「財源確保」との言葉で勘違いしやすいのだけど、これって「2%の消費税積み増しで得られるであろう税収から削れる分を、他のどのような点で担保するのか」という意味であり、「現時点の税収から減ってしまうので個々に税を積み増す」わけではないからね。ホントにざっくばらんな試算だけど、消費税率の積み増し2%で2.2×2=4.4兆円。ここから1.3兆円が軽減税率の対象で引かれるので、その分をどっかからもってきて足さねばという話。実際には軽減税率の実行の際の手間で数百億ぐらいは直接費用で追加のロス、さらに間接的なリソースの浪費で税収とは直接関係が無いところでかなりのロスが生じることになる。先日のフィンランドのベーシックインカム周りの話じゃないけれど、シンプル化した方がコストも削減できて分かりやすく、より多くの社会リソースが有益に使われることになるのだけどね。

まぁ実際にはどのように転ぶかは不透明なところも多いので、推定の粋を得ないよね、ということで。

......余談。同じコメント欄で別の人が言及しているのがあるけど。嫌煙な方だというのは分かるけど、感情論に過ぎるものは「専門家の補助解説」の領域を過ぎたものだと思うのだけどね。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年12月12日 07:50に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「色々なモナカの皮を作ってくれる不思議な専門店「たねらく」とは」です。

次の記事は「東京都限定・振り込め詐欺対策の自動通話録音機の無償貸出を実施」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30