お薬って病症を治すためのもの......だけじゃないんだよね

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先日糖尿病に係わる不幸な事件が世の中を騒がせたこともあり、糖尿病に絡んだ誤解やインスリン周りをはじめとしたお薬に関する世間一般の、もやもやっとした形での誤解、誤認識をあらためて知ることになったので、覚え書きとして。

糖尿病とインスリンの関係(糖尿病にはいくつかの種類があり、生活習慣の悪さが起因とするものの他に、生まれつきのものもある。インスリンは元々人の生命維持に欠かせないものだが、糖尿病ではそれを必要足る量まで作ることができないので、直接投与する必要がある。現在の医療科学では飲み薬、錠剤の類で補完することはかなわないケースも多いなどなど)はさておくとして。

治療などのために医者から投与される薬の類で、どうも誤解があるよな気がする。それが今回指摘した「薬は病症を治すための存在」というもの。確かにゲームをはじめとしたさまざまな場面に登場する薬の類は、生じている異常事態を正常に戻すためのもの。つまりマイナス状態を引っ張り上げてプラスマイナスゼロにするためのもの。そして一度ゼロに戻せたら、あとは放置しておいてもかまわなくなる(完治)。

ただ実際には医薬品としては多分に、「現状を維持する、悪化させない」ものもある。状況を治すことはかなわないけれど、人間の治癒力に期待すべく状況を悪化させない、あるいは治癒そのものは望めないけれど、少なくともこれ以上悪化を避けられるようなもの。認知症の治療薬の大半や、虫歯の治療が良い例。

この「薬は病症を治してくれる存在」とは限らないって話、実のところ医療サイドからもあまり語られては無い気がする(だから色々と誤解を生んでいる面もあるのだろう)。当方も少し前までは投与される薬はすべて、治療をするため、病症を治してくれるものであるとしか思っていなかった。だから薬の投与が続くってことは、それだけ病症が改善されていないと認識してしまうんだよね。実際入院していた時には、薬の数が減ることが、回復に向かっていることを示す一つの指標だったからさ(一食分で1ダースの錠剤を飲まされるなんて話はちょくちょくあった)。

薬は日常生活の食事同様、現状を保つための存在のものもある。この認識は欠かせないんじゃないかな。医学が進めば少しずつ、現状維持のものから、病症の改善のものにシフトしていく分野も出てくるんだろうけどさ。

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このページは、不破雷蔵が2015年11月28日 08:20に書いた記事です。

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