身の周りでも減っているし統計的にも減少中。でも「少年非行、重大非行は増えている」と考える人は多い。なんでだろう

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ちょいと前に某事件をきっかけとしてお偉いさんによる「少年非行は、重大非行事案は増えているんです」的な主張が界隈を賑わせ、色々な方面からツッコミを受けていた件もあり、内閣府の世論調査を色々とチェックし、【「少年重大事件は増えている」と思う人は昔から多かったのか】など複数の記事として精査している。大よその結論としては、統計的にも少年非行、さらには重大非行は減っている(この辺りは自分自身でも公的統計を使って記事にする必要があるんだろうなあ...)、それぞれ個人の周辺で実際におきている非行事案も減少中。増えているのは一部の例外とか、スマホなどを使った新しいパターンのものぐらい。これは絶対数だけでなく、該当期間中の少年人口比率でも確認出来る傾向で、単に子供の数が減っているので絶対数が減っただけ、という話では無い。

ではなぜ、「多い」どころではなく「増えている」、つまり状況が悪化していると多数の人が考えているのだろうか。しかもよく精査すると、高年齢層でますますその状況は強固なものとなっている。自分の身の回りでは減っている、統計的にも減っている。だとすれば、単なる思い込み......が突然空から降ってくるわけは無いので、何らかの形で情報を受け、それを信じた、それに乗る形で「増えているに違いない」との認識に至ったと考えるのが道理は通る。

で、本家サイトの記事でも端々で触れているけど、やはり犯罪関係の話も含め、情報の伝達量が桁違いに増え、蓄積されるようになり、自分の周辺以外の、普段なら足も運ばないような場所での話も続々と入ってくるようになって、遠くの場所のレアケース的な事案も、自分の身近で起きたことのように思えてしまうようになったからかな、と。例えば47都道府県を毎日1地域別巡る企画で連日放送してそれを観つづけていると、内容はそれぞれ別の場所でのものにも関わらず、自分自身の身の周りの出来事のような錯覚を持ってしまう。

また、目立つ事案、特にテレビや雑誌の視聴者・購読者層と重なる主婦層や高齢層が興味関心を抱く少年事案は積極的に、詳細に、繰り返し伝えられるとなれば、一つ一つの細かい事案内容までは覚えていなくとも、印象的に「たくさんあるなあ」「増えているなあ」と認識してしまう。内閣府の調査では「なぜそのような考えに至ったのか」「その情報はどの経由で入手したのか」の設問が無いので、確定づけることはできないけれど。


高齢層で「増えている」との回答率が高まっているのは、まさにこれがあるんだろうなあ、と。新しい情報がボンガボンガ入ってくる(過去よりも高密度、高頻度で)し、新しいタイプの少年非行の事例も次々と伝えられるとなれば、そしてところてん式に昔の話が忘却の彼方へ吹き飛んでしまえば、なんだか増えているなと感じてしまうのも不思議では無い。

やはりしっかりとした資料をもちい、統計的な観点から物事を見極めるのが大切なんだなあ、と改めて思う次第ではある。

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このページは、不破雷蔵が2015年10月15日 07:38に書いた記事です。

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