「待機児童が増えたから政府が悪い」「平均所得と比べて中央値は低く低所得者が山盛り」の中身をよく見てみると

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先日【保育所待機児童の推移をグラフ化してみる(2015年)(最新)】でも触れた待機児童数動向。直近年では前年に比べ、5年ぶりに増加したことから、フンダラ家族の大冒険、じゃなくて社会正義を唱えながら政策やら政府やらの叩く材料として、意気揚々と掲げている筋が確認できる。

今件は上記記事でも触れているけれど、待機児童数そのものの増加に間違いはないものの、景況感の回復に伴い働き口の供給が増え条件が改善され、それを受けて児童を預けることで共働きをしたい女性の数が増え、結果として預け場所の需要に供給が追い付かなかったまでの話。各種法令の改正や預け場所の増加模索など、必要と思われる手は逐次打たれている。グラフを読み直せば分かる通り、2015年は保育所の定員は、前年比で大きく伸びている。にも関わらず補え切れなかったというのが実情。

加えて預入の場に関しては、指摘している通り「マッチングしやすい場所での新設は周辺住民の反対などで難儀させられるケースが目立つようになっている」ってのもある。単に数合わせだけの問題にとどまらないのが現状。ましてや安保だの派遣法だのがどれほど関係していようか。


今件に関してはこのような指摘もある。本文中で事例として挙げている横浜市の件もこれに近い。けれどその横浜市ですらゼロの翌年は20人に留まり、直近の2015年では8人に留めている。絶え間ない、継続的な努力が続けられている。

潜在的待機児童、つまり待機児童状態には出来ないので就業できなかった女性が、預け入れをして就業しようかとアプローチをかけるようになり、子供の預け入れによる就業希望者が増加した状況は、待機児童世帯には残念な話には違いないけれど、全体像、景況感、労働市場の観点では決してネガティブな話では無い。この構造、失業率と同じ。失業率の計算の際には、(景気が悪いので就職試みても受け付けてくれるところはないだろうと諦め)就業を試みない人は含まれないからね。

↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)
↑ 所得金額階級別・世帯数相対度数分布(2013年分・2014年調査)


今朝方アンテナに引っかかったこの事案も同様の構造。単純に個人の所得が下がった云々との指摘もあるけれど(諸事情でここには貼れず)、結局、世帯収入が低くならざるを得ない高齢層、特に年金生活層が増えているのだから、全体的な所得は減退して当然。全体としての平均値なり中央値が減退したことを語りたいのならそれでもいいけれど、あたかも就業年齢層における就業者世帯の収入が減ったようなニュアンスでの言及は、色々と問題を引き起こすことになりかねない。

似たような話は貯蓄率の減退や携帯電話の負担増でも挙げられる。まぁ、この辺り、プレッシャーが平均値・中央値としてネガティブな方向に動いていくのは、多分に計算上足を引っ張る形になる高齢層の増加が要因なわけで。その辺りを突っ込む意見があまり無いのは、どうしてなのかしらね。そこをごちゃごちゃにしていると、問題の根本的な解決にはつながらないと思うのだけどな。

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このページは、不破雷蔵が2015年10月 3日 09:16に書いた記事です。

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