あらためて認識したい、被災地への援助物資の話

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地域災害のたびに問題視され、特に震災時には大きく取り上げられたけれど、根本的な解決策がなかなか見いだせない、援助物資の話。情報の伝達や物資の分配がなかなか上手くいかないのに加え、「善意のはけ口」との言葉がしっくり来る状況が生じてしまっている。個々の気持ちが体現化されたものを提供する行為、その気持ちはまことにありがたいに違いは無いけれど、自分が提供したものが直接すぐに、求めている人のもとに届くわけでは無いことを考えると、果たしてそれでいいのかと思ってしまう。

テレビ画面でお腹を空かせた犬を見て、これをあげるからとパンを差し出す子供を見て、その子供自身の気持ちは分かるのだけど、世の中にはできることとできないことがあるよね、というところ。

リソースは無尽蔵に沸いてくるわけではないし、インフラは無制限にフルスロットルで運用されるわけでもない。限られたリソース・時間を有効活用して、最大限の効率化が求められる状況では、はけ口となった善意が、かえって悪意と同意となる可能性もある。


現金を必要な物資に変える時間も惜しい状況もあり、物資そのものの援助がすべて悪しきものというわけではない。ただ、第二次大戦における欧州に派遣されたアメリカ軍のような「とにかくあるもの全部送れ」のような手法では、やはりアメリカ軍のような流通物資の整理統合管理に相応のリソースを割かねばならないのに、それが成されていない以上、現場がパニックになるのは当然の話。他の作業に必要なリソースを、余剰物資に引き抜かれるのは大きな痛手となる。

その辺りの統括、具体的には援助物資で必要なものの情報収集やその情報の補完、統括、必要な物資の公知と習得、整理、管理と必要な方面への展開など、いわゆる兵站的なグループを常時用意しておき、それを災害時に派遣して基幹組織とすれば良い、アメリカの連邦緊急事態管理庁(FEMA)みたいな部局を創って、そこの一部署として......とは思ったのだけど、NPOの拡充化でそれに対応するとのレスポンスをいただいた。

それも一案ではあるんだけど......実態としてやはり個々の組織で統合化されていないからバラバラになるし、悪用されていないとも言い切れないし(ここ数年のNPO、NGOの不祥事の急増はこれが原因になるのかな)、現場でもフェイクによるリスクを考えると、やはり公的機関による一本化、大規模な組織化の方が望ましいし、効率的にもプラスとなる。

あるいは自衛隊に専用の部隊でも新設した方が早いのかなあ。もちろんその分は予算を増額した上で。

まぁ、あれだ。現場から直接求められている具体的な物品以外のものに関しては、送ろうとしたものの金額を、何らかの形で寄付するのが一番無難であり、誰も不幸にはならない。自分の自己満足が、実は相手に負担をかけている可能性があることを知るだけでも、随分と状況は改善される......と思う。

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このページは、不破雷蔵が2015年9月24日 07:14に書いた記事です。

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