漫画家のビジネススタイルも変わってきているのかな、という話

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先日、インターネットを使って展示会と即売会的なものを独自に披露展開するのが容易になった云々って話をした。確かに不特定多数の人に自分の作品を見てもらうこと次第は、とてもハードルが低くなったことに違いは無い。その為の場も多数設けられている。

ただそれが、ビジネスとして成り立つか否かとの点ではまた別の話。今件の話の直前に、別の方による「単行本の第二巻は出なくなった。第一巻の売れ行きが芳しくないので。他社での発刊も模索したが反応は良くない。やはり第一巻が売れていないから。作品は現在掲載紙から引き引き上げて云々」というものがあったので、多分にそれを受けての話もかもしれない。

指摘の通り、これまでは商業誌でのデビューに至るまでが非常に難しく、一度ラインに乗れば、それなりに高い可能性でセールスが期待できたし、作品制作以外の部分は担当なり企業が結構頑張ってくれた。技能の底上げも手を引っ張ってくれた。まぁ担当の質が悪いと以下略ってのもあるけど。

ただ先日の鈴木みそ先生の電子書籍の話などでも触れたように、雑誌社などが漫画家を育てる余裕は無くなっているのが実情。自分自身の修練や、作品のセールスプロモーションまでも、多分に自分自身でこなす必要が出てくるようになった。ものすごい雑な例えになるけれど、これまでが日本風の大学だったのが(受験は大変、合格すれば後はある程度楽ができる)、今後は海外の大学(入学は容易、合格しても大変なまま)になったという感じかな。

売るってのはすごく難しい話で、テンプレ的なものは無い。近いものはあるけれど、その多くは売る人が一番もうける、ギャンブルにおける胴元のようなオチが待っている感じ。そして発芽率の低い種の種まきとか、研究開発投資みたいな感じでもある。ギャンブル、というとちょっと違うけどね。蒔いても芽が出る、美味しい果実が成るとは限らない。でも種はまかなきゃ生えてこない。


漫画家界隈は特にそうではあるんだけど、それに限らず、クリエイティブ系の創り手は多かれ少なかれ、こんな環境下に置かれていると思う。その原因の多分にあるのが、恐らくはインターネット。利用ハードルが低いコミュニケーションツールは、それほどまでに社会環境を変えていく。

あれかなあ、オーバーな気がするけど、大航海時代みたいな感じなのかもしれないな。だからこそこれまで以上に自分を磨いて実力をつける事は大切だし、コーディネーター、プロモーター的な立場の人が活躍する時代なのかもしれない。

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このページは、不破雷蔵が2015年8月 7日 07:39に書いた記事です。

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