コンテンツの創り手に恩恵はどれほどあるのか・いわゆるキュレーションサービスというもの

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バイラルメディアやらキュレーションサービスやら、運営側自身のコンテンツ生成はほとんどなさず、盗用やら抽出で「便利だから」「需要があるから」を大義名分として展開しているサービス群。キュレーションサービス一つをとっても、結局のところ本来のキュレーターという言葉の意味とか、中間に立つ人的な存在ってことで商人・問屋的に例える人もいるんだけど、それとの大きな違いってのは、盗用・利用された側、コンテンツの創生者側にはほとんど恩恵が与えれらないってことなんだよね。五公五民って言葉は良く知られているけれど(江戸時代の年貢制度の表現の一つで、大体半分がお上に徴収される比率)、それに例えればよくて九十五公五民ぐらい。

悪質系まとめサイト絡みも性質的には似ていて、大義名分としては「引用(※自称)した側にも誘導するためのリンクがある」というけれど、それ経由での利用者がどれほどいるのか。オマケになにかその文面で問題が生じると、その時は大本のコンテンツ制作側にも大きな火の粉が降りかかる。しかもよく調べてみると、コンテンツそのもの表現がキュレーションの段階で色々と錯誤を生むようなものとなっていて、それが発火点だったりすることも。

で、こんな感じで買いたたかれる以前の状況となるので、【ネット上のコンテンツは作るの簡単だし無料配信多いから原稿料もどんどん下がるよ、やったね、書き手が増えるよ......良くないよ】のような話も後押しされてしまう。

そして上の話では「自分のメディアを持ち、そこから発信してしかない」とあるけれど、よく考えてみたらいわゆるキュレーションサービスの大半は、その「俺メディア」であるブログやウェブサイト、ソーシャルメディアからの抽出だったりするんだよね。つまり仮に「俺メディア」を創っても、キュレーション側が上に立ってドヤ顔するという次第。

キュレーション側としては各検索エンジンのニュースサービスを見て、自分らも検索エンジンと同じような立ち位置に付きたいとの思惑があると考えれば道理は通る。ニュースや情報は多様に、そして大量に毎日提供される。キュレーションサービスの大半は「ニュースをカスタマイズ」と大義名分化されているけれど、それって「欲しい情報の検索用語を打ち込む」という行程をのぞけば、普通の検索エンジンの利用と何ら変わりはないよね。

一方で利用者サイドの話を見聞きすると、最近はどこも「精度」がガタ落ちしているという。ノイズが多すぎて、自分の思惑通りの情報が送られてこない。まぁ、検索エンジンそのものと同じ状況にあるんだろうな。

中身がなんだかよくわからない、ジャンクフードですらまだマシな、腹がふくれるばかりの、ゾル状の、SF映画に出てきそうなパレット上に敷き詰められた色鮮やかなぐちゃぐちゃの食品でOKというのなら、キュレーションサービスを利用してもいいだろう。しかしそれですら品質はどんどん悪化していくんだよね......。

「リンクを張れば大恩恵を与えるから、対価は要らないよね」「有名になれる、露出度が高まるから原稿料とか不要だよね」。いまだにこの類の語りが堂々と出てくるのには、少々あ然としてしまうのは当方だけだろうか。

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このページは、不破雷蔵が2015年6月 8日 08:01に書いた記事です。

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