オタクというカテゴリでスーパーマン扱いされると困るという話

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似たような話は商業誌で漫画を執筆されている先生で良く聞くもので、ちょっと縁の遠い友達とか親戚から「あんた漫画描いてるんでしょ、ちょっと描いてよ、ナルトみたいなの」のように、「漫画家」という大雑把なカテゴリでのみ分類されてしまっているというパターン。

そもそも論として「オタク」って表現からしてアレで、語源というか由来から「どちらかといえば世間一般から外れている、気持ち悪い人たち・属性」ってニュアンスが多分にあるわけで。それをあえて控除しても、どちらかといえば世間一般には認められにくい価値を持つ対象への執着、愛情、知識を持つ人を指している。例えば地質学で化石収集と分析をしている研究職の人を、化石の専門家、プロと呼ぶことはあっても、化石オタクとはあまり呼ぶことは無い。あったとしても否定的なニュアンスは薄い(先生、専門家、プロよりは否定的な香りはあるけれど)。

ところがアニメやマンガといった、エンタメ系、しかも近代生じたタイプのものに対する呼び方では、大いに卑下的ニュアンスが含まれる。さらにいえば、そのような表現を用いた場合、対象となる価値観への造詣はほとんどないことから、似たようなものをすべてひっくるめてしまうことになる。「ナルトだろうとドラゴンボールだろうと銀魂だろうと同じ漫画・アニメだから全部オタク扱い」みたいな感じ。さらにいえば上記指摘の通り、「オタク」という広範囲のテンプレに当てはめてしまい、何でもその分野には異様なまでの執着を持つ、万能戦士的なイメージを抱いている感もある。

以前触れたかもしれないけれど、蔑視的な意味合いで「オタク」との言葉を使う際には、多分に使う側における対象物・分野への嫌悪感や無知が影響している。だからこそ的外れな指摘をしてしまうことになる。まるで「オタク」を、自分が忌み嫌う、理解をしていない近代的なエンタメ分野を何でもこなす、万能博士的な形でとらえている感は強い。

いや、単に勘違いしている、認識不足だけならいいんだけどね。実情との違いを指摘されると、さらにオタクなるもの、当事者への蔑視を強める傾向があるんだよね。最初の例なら「なーんだ、ナルトすら描けないの? 漫画家のくせに」みたいな。まぁ、気にしなきゃそれでいいんだけど、ショックを受けることに違いは無い。

これが例えば上記の通り、専門家とかプロって認識がされていれば、こんな雑多な扱いはされないんだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年4月13日 08:07に書いた記事です。

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