「用意したけどできれば使ってほしくない」のは分かるけど、使いにくくするのは間違っている

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サービスを解約するのはサービス提供側から見れば、できればしてほしくない行動。でもその窓口を用意していなければ、単なる詐欺。一度入ったら退会は出来ませんなんていうサービスなど、怖くて近寄れない。そこでちょっと賢いと自覚する運営側が考えるのは、「退会方法を分かりにくくしよう」「プロセスを面倒くさくして、途中で断念させよう」というもの。気軽な気分で退会しようとする人は、退会方法が分からず、途中で面倒くさくなって「まぁ、いいか放置していても」となってしまう。

確かにこのような仕組みを構築すれば、そのサービス単体のラインでは退会率の減退、つまりポジティブな影響が数字となってあらわれるので、発案者はドヤ顔が出来る。そしてこの手法を良いものとした経験がプロジェクト、企業全体に蓄積され、繰り返される。

しかし利用者サイドから考えれば、したい行動を遮られた、さらには無理やりにでも退会させないという意図が透けて見え、否定的な印象を該当サービス、さらには運用会社に持つようになる。数字となってあらわれるわけではないから(途中で退会手続きを断念した人や、退会手続きそのものが見つからなかった人に、「このサービス、企業に対する印象はどのように変わりましたか」などと聞ける機会があるはずも無し)、運用側は気が付かないだろうけれど、確実にその印象は個々の該当者の心理に刻まれ、蓄積される。

中長期に渡り同じようなことが繰り返されれば、それは確固たる行動性向の違いに現れる。さらに昨今におけるインターネットを使った口コミのスピード感・増幅感は、これまでとは比べ物にならない程の大きさとなっている。


ゲームのインターフェイスでも、やもすると「用意しなきゃならないけれど、運用側としては出来れば使ってほしくない」類の操作は、やたらとハードルを上げて到達率を下げるってのが、賢いコツと見なされることがある。ゲーム内の難易度なり設定・背景の上でその辺を上手く見せるのならともかく、単なるシステム周りでややこしくするのは、愚の骨頂。例えばコンビニでの支払いで、専用カードで支払うとポイントが付くというプラスαが用意されているのならともかく、現金で払うと手間が数倍かかるとか、レジの順番で最後尾にされるとか言われたら、なんでやねんって感じになるよね。

昨今の一部大手における対顧客サービス業において低迷が続いている一因は、この「短期的には表れない、数字としてガッツリと出てくるわけでは無い、小手先のテクニックの反発の蓄積」が大きな要因ではないのかなあ......例のメニュー廃止とかごにょごにょ。

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このページは、不破雷蔵が2015年3月30日 06:51に書いた記事です。

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