育児で追い詰められた母親による悲劇なのか、そしてそれは現在に限った話なのか

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先日ツイッター上の公式リツイートなどで出回ってきたグラフ。子育ては非常に大変で、特に乳児は親のストレスがたまることで知られており、育児ノイローゼなる言葉もあるほど。結果として悲劇のトリガーが引かれるという話も、時折ニュースとして伝えられる。だからこそ育児には世間一般の理解が必要であるし、男女を問わず育児休暇にはもっともっと理解を示さねばならない。それは大いに賛同できるし理解もできる。

が。

この類のグラフって、時として統計の上で問題が生じている可能性がある。まずはイレギュラーとなった原因を追究しなきゃならないのが常。ということで、資料元となる厚生労働省の人口動態統計における、e-statで収録されている内部統計をちょいと精査してみた。

すると、確かに統計値を合算するとこんなグラフにはなる。のだけど、年ベースで全年齢の他殺による死亡者数が300人強しかいないという結果が出ているのに首を傾げる。もっと多いはずだけれど......カウントしきれてない事案が多分にある予感。加えて、他殺の定義が特に記されていない。乳児の場合は意図的なものによるもののほかに、過失、あるいは事故によるものも多分に考えられるからなんだけど、その境界線が確認できない。

さらにファイル数が多いので断念してしまったのだけれど、過去も同じような状況だったのかな、昔は少なく、今は多く、だから今は育児に対する女性のストレスは増えているのかな、そんな風に読めるグラフだったのだけれど。ってことで色々と調べたら。


同じ人口動態統計の過去データ、そして警察庁「犯罪統計書」を探って統計をとった解説文や、今件でスポットライトが当てられた乳児に対する事案問題が詳細に解説されている。今件で指摘した事象についても、昔から存在する問題であり、昨今において殊更に増加したものではないこと、むしろ戦後じわりと、そして確実に減少をしていることが分かる。

つまり、女性の育児、特に乳児における高負担問題は昨今に限った話では無く、昔から存在したものであり、継続して注視して少しでも状況を改善すべき事案に違いないこと、そして絶対件数及び比率の双方において、戦後は漸減していることになる。

......先日問題視された、例の少年犯罪の話と構造的には同じなのかな。要は実数が少なくなり報じられる機会が減り、だからこそ目立つようになった、そして特定事案に関して詳細に語られるようになったので、第三者の目から見ると凶悪化、件数の増加という誤認をしてしまうスタイル。

リソースが投入できる余裕ができれば、手がけたいテーマの一つに違いない。

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このページは、不破雷蔵が2015年3月18日 07:29に書いた記事です。

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