「正しいことをしているのだから」何をやっても良いわけではない・プロモーションの悪しき具体例

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ユニセフが、南スーダンの飢餓や感染症に苦しむ子供たちの現状を"新作ゲームに例えて訴える"という驚きのプロモーションを実施しました。ユニセフがその名を伏せてプロモーションを実施したのは、ワシントンD.C.で開催されたゲームショーの新作ゲーム発表会。プロの俳優が新作ゲームの発表者として登壇し、集まったゲームファンに向けて、新しいゲームの概要を紹介するというものです。

この類の話はフェイクの可能性もあるということで、一応一次ソースをたどったけれど、動画はユニセフの公式アカウントによるものであるし、実名団体を語った偽証話であるなら大きな訴訟リスクが生じることを考えればマジネタであると確認した上で。

これ、「俺様の正義のためなら何をやっても良い」という類の、プロモの悪しき事案としてしか認識できないんだよね。「問題提起は大切」「皆に注目されるためにやったことであり、多少の偽証は許される」的な発想によるものとしか考えられない。ポップアップ広告とか「あなたのPCは故障寸前です」とかマウスオンで動く動画広告と、本髄の部分は同じ。大義名分があるからいいじゃないか? ではその線引きは誰が行うのかな、ということになる。いわゆる「上から目線」が思いっきり体現化されたもの、とも評価できる。


指摘にもあるけれど、多分に「意識のみが高い人の暴挙」的な、先日のグリーンピースによるナスカの地上への問題行為と同じ香りがする。人々の善意を求めるべき対象に、人の悪意を持って誘因をしちゃ絶対にいけない。

今件について、ユニセフの上層部で誰か「これはさすがにまずいだろう」との判断をして止める人はいなかったのかな。あるいは一部局の暴走だろうか。いずれにしても、一度これやらかしちゃったので、ユニセフは今後しばらく、似たような事案を訴えかけようとしても見向きもされなくなる可能性がある。ホント、やらかしちゃった感が強いんだよなあ。

WWFが時々ポスターの類でこれ系の「それはかえって逆効果」的なものをやらかすことがあるんだけど、今件はさらに上を行くもの。仮にこの騒ぎまで含めて「問題提起として」「炎上商法的なものでもいいので」という計算をした上でのものなら、それはそれでさらに問題。自己の正当化のためには何をしても良いということを自ら認めたことになるのだから。

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このページは、不破雷蔵が2015年1月 8日 06:40に書いた記事です。

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