「株価が上がっても庶民は何の意味も無い」「年金がっつりサポートされてますが何か」

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【公的年金の運用する積立金 130兆円超に】

公的年金の積立金のことし7月から9月までの運用実績は、国内の株式市場で株価が堅調に推移したことなどから、およそ3兆6000億円の黒字となり、運用する積立金の総額は130兆円を超えました。これについて、GPIFは、「国内の株式市場で、円安の進行を背景に輸出関連銘柄への買い注文が広がるなど株価が堅調に推移したことに加えて、ドル高により外国株式のプラス幅が拡大したためだ」としています。

景気の先行指数の一つとされるのが株価ではあるのだけど、なぜか報道では多分に「株価が上がる......庶民には何も関係が無い、金持ちばかり得をする」「株価が下がる......景気が悪い、庶民にも悪影響が生じる、がっかりだ」という、訳の分からない説明がなされ、頭痛の種となる。分かって無くてやっているのなら報道機関として技能レベルでの資格は無いし、分かってやっているのならもっと悪質。そもそも株式とは何か、市場とは何ぞやという話を、どこまで理解した上で伝えている事やら......「庶民感覚で伝えている」云々というのなら「その庶民感覚とやらを強要しているのはどこの誰だ」「その免罪符でウソをついてよいとでも思っているのか」というツッコミもしたくなるというもの。

株価は下がっても上がってもそれ相応に一般社会にも影響が生じる。経済はあらゆる場所でつながり、連動しているから。これは電気代やガソリン代などでも同じ。例えばガソリン代が上がれば運送コストが跳ね上がるので、商品価格にも上乗せされるという感じ。株価動向もそのところてん式な動きの一つで、今回年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人の直近四半期の報告によれば、株価の上昇で運用益もプラスになったというお話。

加えて、株価が上昇するような状況になれば、いわゆる投資ゲームの対象となった場合はともかく、それ以外は概して業績が堅調化し、それと共に配当金が積み増しされることが多い。そして配当金は証券口座に振り込まれた後に運用資金に回される以外に、小口で引き出されてお小遣い的に使われる事例も少なくない(これ、機会があれば調査を探してきて記事にした方がいいかな)。もちろん利益確定をした場合、その一部で何か買い物をするってこともあるだろう。

こづかい的に使われるってことは、それだけ消費が後押しされることになる。市場にとってお金は血流。消費される額が多ければ、それだけ経済は活性化する。株価の上昇が間接的に経済を回す一因でもあるのだな。

企業においても、保有株式の評価価値が下がると会計上の特損を出さねばならなくなることがある。これは結局自社の財布のひもを締めることになり、従来の業績とは関係なく頭を抱える状況になることもある。株価が上がればその逆で、資金面で余裕が出て、活動を活発化させることができる。

ともあれ「株価が上下しても庶民には関係が無い」という言い回しを聞いたら、「ああ、この人は分かっていないのだな」と認識するのが無難。「国民の借金」「内部留保を活用して」という表現と共に、経済面でのチェックをする良いフラグではある。

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このページは、不破雷蔵が2014年11月26日 08:12に書いた記事です。

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