ブラック企業化は進んでいるのか...3年目までの離職率動向

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【大卒3人に1人が卒業後3年以内に離職】

↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2012年は1年目と2年目、2013年は1年目のみ)(再録)
↑ 在職期間別離職率の推移(中学校・高等学校・大学卒業者)(3年目までの総計)(2012年は1年目と2年目、2013年は1年目のみ)(再録)
厚生労働省によりますと、平成23年に大学を卒業し新卒で採用された人のうち、ことし3月末までに会社を辞めた人は32.4%で、ほぼ3人に1人が3年以内に会社を辞めていたことが分かりました。これは前の年に卒業した人の割合を1.4ポイント上回り、2年連続で増えています

......というわけで現在最終精査中なので本家記事のアップデートは昼前までに行う予定だけど、先日各報道で厚生労働省から発表された3年以内離職率周りの話があり、ここ数年では上昇中とのことで、ブラック企業の増加云々という話がちらほら出ている。離職率の増加は一概にブラック企業の増加とも言い切れない。終身雇用制が完全履行されているのならともかく、さらに良い就業条件への転職の可能性が考えられるから。

詳しくは【学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2014年)(最新)】で解説するけど、「景気低迷→容易に離職したら再就職は難しい→ちょっとの条件悪化では我慢→離職率は低下」「さらに景気低迷→思いっきり就業条件が悪化して辞めざるを得なくなる or 会社都合での離職(いわゆる解雇)→離職率増加」という傾向がある。

で、上のニュースなどで語られている「離職率が増加した、大変だ云々」ってのは、実は「3年以内に会社を辞めた人の割合」ってのがポイントなのね。この値、3年間継続して就業した条件が揃わないと計測が出来ない。例えば今年就業した人が辞めたら1年目の離職だけど、2年目・3年目はカウントのされようがないので比較は不可能。今回「大学生が32.4%、増加中だ」云々ってのは、2011年に就業した人を指すわけだ。ひるがえって考えてみると、リーマンショック、過度の円高、そして震災。企業の業績を揺さぶる環境はフルスロットルモードで、就業条件の悪化や会社側都合解雇が増えても当然の話(リーマンショックや円高の影響は2010年あたりから出ている)。

実際、円高がある程度落ち着き、リーマンショックなどの金融危機の影響が薄らぎ、震災の被害から立ち直る企業が増えた2012年以降は、「1年目に離職した人の割合」のみを見ると、ざっくりと減っている(高校生がわずから増えてるのが気になるけど)。この辺りを解説していないのはちょっとアレじゃないのかなあ、と報道を見ながら思う。下手するとこの動きを「消費税率が云々」「現政権の施策がかんぬん」と言い出す人も出て来るかも。

それと今件は基本的に雇用保険加入者周りでカウントしている。正規・非正規を問わず原則加入なので、非正規雇用者も当然考慮内。元記事では「宿泊業・飲食サービス業の離職率が最も高く52.3%」とあるけど、これはアルバイトが多分に影響しているってこと。

数字そのものは間違いでは無いんだけど、その数字による印象と、その実態とは大きく異なることもある。注意する必要があるのには違いないわな。

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このページは、不破雷蔵が2014年11月 9日 06:38に書いた記事です。

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