人材への投資が行われにくい理由、そして終身雇用制のもう一つの効用

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先日の【人材不足と人員不足、そして対価は評価】のリプライ的なお話で、言い足りなかった分、なるほど感を覚えさせられた指摘などがあったので、まとめて覚え書きとして。上の話はもっとも至極で、内製(内生)するとコストリスクが高くなってしまうので、確実なモノを外から借りて来る方がいいよねえ、というもの。ただ良く考えてみると、その専門会社もコスト高のリスクを抱えているから、元の木阿弥、禅問答的な話になり、結局全体的に質が劣化してしまう。今の労働市場の問題の一つは、この点にあるのかもしれない。......ほら、専門業種を語る外注会社も、実は下請に回してばかりで中身がスカスカ、しかもその下請けの質がアレで、結局使い物にならないという事案が以下略。もちろん流出しない、しにくい体制を作ればよいんだろうけどさ。


で、ここまで人材の育成と投資、その人材の流出リスクまで合わせて考えると、この指摘に物凄く合点がいってしまう。終身雇用制度は得てして企業にばかりプラスがあり、就業者を縛り付けるものだという観念が浸透し始めているし、「そうとも言い切れない、安定した職と、そこで得られる蓄積性のある経験と技術は、企業だけでなく就業者自身にもとても大切なもの」と主張するとフルボッコされるのがオチなんだけど(経験者は語る)、こういう発想もあるんだなあというのが理解できる。

企業にしてみれば磨きあげた人材の流出リスク低下、そして就業者には企業にスキルアップをしてもらえるというメリット。双方にプラスがあったわけだ。もちろんどこぞの「働かせてもらえるだけでありがたいので賃金はむしろ下げてよいと社員は語っています」とドヤ顔で語るような経営陣の話は論外で、この人材投資のコストに関するリスク云々とは別に、正当な労働に対する正当な報酬を呈するってのは常識レベルでの話ではあるんだけどね。

こうやって考え直してみると、色々と叩かれている仕組みって、やはりということでもあるのだけど、さまざまな考えのもとに構築されていたんだなあ、と。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月16日 07:48に書いた記事です。

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