「事実誤認と不適切な編集」それを捏造というのです

| コメント(0)
テレビ朝日は12日夜のニュース番組「報道ステーション」で、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の新規制基準への適合に関する報道内容に関し、事実誤認と不適切な編集があったと謝罪した。


先日の「吉田調書」に絡む記者会見で隠れてしまいがちだけど、九州電力管轄の川内原発に関する「合格証」の交付に関して、報道ステーションでも「やらかした」話が上がっている。詳しくは元記事などで確認してほしいけど、要は切り貼り編集で事実と異なることを述べた上で、その誤認内容をもとに番組出演者らが論議を交わすという、まさに「世論形成のための捏造」をしてしまった次第。

これについて原子力規制員会では放送の翌日の11日に【9月10日放送分の報道ステーション(テレビ朝日)での報道について】なるリリースを出すと共に抗議をしている。こちらも詳しくは実リリースを見てほしいけど、バリバリ編集伝説モードで、報道ステーション側の問題を指摘。まぁ、報道の編集による意図改編はよく知られた話ではあるけど、これは良い具体例として後々まで歴史に残りそうなレベル。

で、これに対して上の記事にある通り番組内での謝罪と共に委員会側に【9月10日放送分の報道ステーション(テレビ朝日)での報道についてのお詫びについて】という形で詫び状が届き、その内容が公開されてはいたのだけど、これも実情がボロボロ出てきて頭が頭痛状態。

「会見内容のメモに不備」「担当者が誤って認識」「記者の質問が相次いだことを表現しようとするあまり、記者の質問だけを繰り返し、本来、残さねばならない、委員長の回答を割愛」とか。元々「報道ステーション」はニュースバラエティという灰色的な属性の番組にしておくことで、報道番組に求められる各種規制から逃れる仕様なわけだけど、バラエティだからといって事実をよじ曲げて伝えて良いものでは無い。むしろ番組などで良く糾弾する、誤認誘導表現を平気で自ら行っているってことになる。指摘が無ければそのまま通していたってことだからね、これ。

「吉田調書」の時にもいくつか指摘があったけど、「核心的利益」という表現がマッチするような、企業体としての本髄の部分に元々問題があって、それを構成する各要素、特に人材の部分が劣化してきたため、随所でほころびが生じてきた雰囲気なんだよね。朝日グループ全体が。構成人員の一人一人、誰が悪い、悪くないという話では無く。

言われている通り、他社媒体も頻度の差はあれど似たような事象は成されてたんだろう。しかしこれだけ短期間に連発して朝日系列で露呈があると、「これまでも同じような頻度で色々やってたのが、今回はたまたま暴露されただけでは?」と、グループ全体の体質にすら疑念を覚えるのは当然。

露呈された「問題事案」の類ってのはイレギュラーな事象によって発生する以外に、「システム」「構造」によって確率論的に生み出され得るもの。構造上欠陥のある製造機器で商品を作れば、一定比率で欠陥商品が生み出されるようなもの。つまり個々の要素の問題では無く、朝日グループ全体が根本的な体質の上で問題を有していると考えた方が、昨今の連続トラブル発覚の説明としては、道理が通るんじゃないのかなあ。

タイトルの「「事実誤認と不適切な編集」それを捏造というのです」。これにしたって、「番組内で日常茶飯事的に行われてて、今回たまたま該当者が公的機関で声を荒げたから訂正しただけであって、他のニュースも多分に似たようなことをやってるんじゃないの?」と、ニュースそのものの信頼性どころか真偽性を疑われかねない状態にあると言ってもいい。

そりゃ編集は必要だし、すべての事象を完璧にカバーした概要説明なんてのはムリ。時折ベクトルのずれたものができてしまうこともあるだろう。しかし「核心的利益」に基づいた偏向・捏造となれば、それは単なる「チラシの裏」、活動家グループによる機関紙でしかなくなるのよね、信頼性の上で。

......そういや同じ類の訴えって、各電力会社も結構やってた気がするな。テレビ朝日に対するものに限らずだけど。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年9月13日 06:24に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「色んな失敗シーンをマリオのせいにしてみたよ」です。

次の記事は「プレスとオピニオンの分離。なぜしないのか、できないのか」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30